1987 Fiscal Year Annual Research Report
置き換え吸着クロマトグラフィーによる共重合体組成分布
Project/Area Number |
61550659
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
加藤 忠哉 三重大学, 工学部, 教授 (80023133)
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Keywords | 多孔性シリカ / 孔径 / 分子サイズ / クロマトグラフィー / 共重合体組成 / ポリスチレン / 優先吸着 |
Research Abstract |
昨年度に引続いてバッチ法を用いて見付けられたポリスチレン(PS)とポリメチルメタクリレート(PMMA)の置換えおよび競争吸着挙動を多孔質シリカ充填カラム系へ拡張する方法を探究した. さらにPS-co-PMMAについてもカラム系への適用を検討した. その結果, つぎの問題が生じた. 問題点1), カラム系では溶媒であるトリクロロエチレンを連続して流すために, 溶媒に混入しているppm程度の不純物がシリカ表面に吸着蓄積され, ついにはPMMAが吸着しなくなる. 問題点2), PSの吸着量はPSの分子量と多孔質シリカの孔径に依存する. これら1), 2)の対策を考えるために, シリカの精製や充填方法, カラムへの接続方式を種々変化させたが1)については十分な解決策は得られず, 次年度へ継続する. 2)は孔径が30A〜5000Aと異なる多孔質シリカを用いてその吸着量を詳細に検討した. 吸着量の測定はつぎのように行った. 一定量のPSを繰返し注入し, 吸着されないで溶出し如めるPSピークの検出が始まるまでに注入された積算PS量をそのカラムの飽和吸着量とした. 孔径が分子サイズに比して十分小さい場合はシリカ粒子の表面にのみ吸着するので, 最小の吸着量となり, 一方, 孔径が分子サイズ程度になると吸着量は増加する. さらに孔径が分子サイズの数倍となると無孔性のアエロジルシリカ表面への吸着量に近づき, 分子量が大きいPSほど吸着量が増加するが, 分子量が10^5以上では分子量に無関係に一定値となる. 以上の結果より, PSは分子サイズ程度の孔径を持つシリカに対しては孔の内に入り込んで内部表面にも吸着するものと考えられる. 共重合体では分子サイズの組成依存性が吸着量の組成依存性に重畳する結果その吸着挙動は複雑であり, 組成分析に用いるためにはその挙動をさちに検討しつづける必要がある.
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Research Products
(1 results)