1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61550678
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮田 幹二 阪大, 工学部, 助手 (90029322)
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Keywords | 包接化合物 / 包接重合 / 分子複合材料 / 共役系高分子 / 電気的性質 / 脱ハロゲン化水素 / ポリアセチレン |
Research Abstract |
分子複合材料としての機能性包接化合物の合成を以下のように行った。即存のホスト化合物として、従来から用いてきたデオキシコール酸とアポコール酸を使用した。ゲストのモノマーとしては、1-ハロゲンブタジエンや無置換のジアセチレンなどを用いた。これらモノマーの包接化合物を合成し、その重合により、分子複合材料を得ることができた。次に研究成果を具体的に述べる。 1.包接重合により得られた高分子包接化合物の単結晶を用いて、X線回転写真を撮影した。その結果、包接された高分子の周期性と配向性にもとずく層線が認められ、確かに分子複合の状態になっていることがわかった。1-ハロブタジエンの場合、生成ポリマーは、ほとんど完全に1,4-トランス付加構造になっているので、脱ハロゲン化水素により、ポリアセチレンに誘導することができる。そこで、結晶を加熱して、脱ハロゲン化水素を行ない、ポリアセチレンの分子複合体を合成した。 2.上記の方法で得られたポリアセチレンの分子複合体の電気伝導度を測定した。ヨウ素ドーピングにより、【10^(-6)】S1cm程度の電気伝導度の値が得られた。包接化合物のトンネル状空間を完全にポリアセチレンで充填することは、いまだできないが、分子レベルでの電線を合成していく一つの方法になり得るのではないかと考えられる。 3.共役系高分子の共役数をレーザーラマンスペクトルで調べた。だいたい、共役数は二十ぐらいとなっていることがわかった。分子複合状態の共役系高分子がどのような光学的性質をもつかは、今後の検討課題である。次年度は、ホストやゲストの対象化合物をさらに広げ、重合方法も種々検討して、さらにより機能性の高い分子複合材料としての包接化合物を合成していこうと考えている。
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[Publications] 堤宏守: Synthetic Metals. 18. 465-470 (1987)
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[Publications] 堤宏守: Journal of Polymer Science,Polymer Chemistry. (1987)
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[Publications] 堤宏守: Die Makro molekulare Chemie:Rapid Communications. (1987)
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[Publications] 宮田幹二: Journal of Inclusion Phenomena. (1987)