1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61550685
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
大内 辰郎 関西大学, 工学部, 助教授 (60067650)
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Keywords | リンゴ酸ポリマー / 生体内分解吸収性ポリマー / 主鎖エステルの加水分解性 / 水系GPC / 分子量分布 |
Research Abstract |
リンゴ酸ポリマーの主鎖エステルの生体内での加水分解性については, このものが青かび中より発見されたポリエステルであることより酵素分解を受けるとも考えられるが, ポリラクチドの仲間であることより, ポリグリコール酸やポリ乳酸のように生体内で非酵素的エステル加水分解を優先的に受けることも考えられる. そこで62年度は, 61年度に合成したリンゴ酸ポリマーの主鎖エステルの加水分解性を37°Cの各種水溶液中 in vitroで調べ, リンゴ酸ポリマーの医薬および医療用分野への利用の可能性について基礎的な検討を加えた. 以下にその結果を示す. 1.エステラーゼによる酵素分解について調べたが, 通常の酵素分解で見られるような速い分解は受けなかった. 2.生理食塩水, 模擬体液およびpH7.4の緩衝液中のようなマイルド条件下では, 主鎖エステルの加水分解速度は非常に小さかった. 3.胃および腸を想定した強酸およびアルカリ水溶液中での加水分解は比較的速く起こった. 4.水系GPCで分子量分布の経時変化を追ったところ, この主鎖エステルはランダム分解を受けることがわかった. 以上のin vitroでの結果より, in vitroにおいてもリンゴ酸ポリマーは同じような挙動で分解を受けることが推測できる. したがって, このリンゴ酸ポリマーの側鎖カルボキシル基を利用して共有結合で低分子薬剤を結合させることにより, まず低分子薬剤がリリースして, そのあと長時間かかって主鎖エステルが加水分解を受けるようなMacromolecular Prodrugのキャリアーとしてリンゴ酸ポリマーを利用することが可能であるといえる.
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