1986 Fiscal Year Annual Research Report
連続式電気泳動法による両性物質の分離濃縮に関する研究
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61550690
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
只木 てい力 東北大, 工学部, 教授 (20005226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 史子 東北大学, 工学部, 助手 (60179249)
佐藤 恒之 東北大学, 工学部, 助手 (80170760)
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Keywords | 等電点電気泳動法 / 両性電解質 / アミノ酸混合液 / 分離濃縮 / 緩衝剤 / 印加電圧 / 滞在時間 |
Research Abstract |
本研究では、小規模回分式等電点電気泳動法をアミノ酸あるいは蛋白質に代表される両性電解質混合液の工業規模での分離濃縮に応用するための基礎資料収集を目標に、比較的大型の電気泳動装置を試作し、市販の安価な緩衝剤を用い、両性電解質であるアミノ酸の分離濃縮実験を行うとともに、アミノ酸イオンの移動現象を理論的に解析し、分離濃縮特性に及ぼす諸因子の影響を考察した。実験においては、高さ250mm,幅120mm,奥行5mmの泳動室とその左右に白金電極を有する陽陰電極室を持つ装置を試作した。泳動室には0.05mmφのガラスビーズを充填し、これより均一流れ状態を達成せしめた。始めに種々の緩衡剤を添加し、P-アミノ安息香酸とヒスチジンの分離濃縮実験を行い、分離性を考察した。その結果、高価なAmpholineなどの両性担体を用いることなく、安価な緩衝剤でも、アミノ酸の分離が可能であることがわかった。また、印加電圧、あるいは滞在時間に関しては、それらをある程度まで増加させることにより、分離性が向上することがわかった。これらの事実を次に泳動を考慮した移動論方程式の数値解析に基づき詳細に考察した。これより、緩衝剤を添加しない場合、泳動室内に水素と水酸イオンの中和反応により急峻なPH分布が形成され、アミノ酸自身の緩衝能力のみでは効率よい分離性を得ることが期待できず、そのため緩衝剤を利用すべきことがわかった。その際緩衝剤の選択が本法の有効性に対して重要な因子となるが、本研究では、本理論解析に基づき、緩衝剤の選択基準をも与えた。一方、印加電圧、あるいは滞在時間が大きいほど、緩衝剤がより濃縮されるため、緩衝能力も増加し、それにより、分離性がよくなることがわかった。 尚本研究については今後、アミノ酸以外の両性電解質である蛋白質等の分離特性を実験的ならびに理論的に解析し、分離濃縮特性を総合的見地から理解する予定である。
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