1986 Fiscal Year Annual Research Report
アミノ酸の分離,濃縮への支持液膜の応用に関する研究
Project/Area Number |
61550694
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宝沢 光紀 東北大, 非水溶液化学研究所, 助教授 (70005338)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今石 宣之 東北大学, 非水溶液化学研究所, 助手 (60034394)
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Keywords | 支持液膜 / アミノ酸 / 抽出 / 拡散律速 / 膜透過 / 分離 / 液体膜 |
Research Abstract |
液膜による分離、濃縮技術は金属の場合は実用化の段階まで到達した。そこで液膜をアミノ酸のような有機物質へ応用するための実験的研究を行った。本実験ではアミノ酸としてトリプトファンを取り上げ、抽出試薬として第4級アンモニウム塩、油相としてn-デシルアルコールを用いた。研究結果について以下に列記する。 1.分配平衡について 4級アンモニウム塩はアミノ酸アニオン及び水酸化物イオンとイオン交換反応してこれらのイオンを膜輸送する。この分配平衡定数を測定した。トリプトファンアニオンについては妥当な分配定数が得られたが、水酸物イオンについては分配定数にpH依存性がみられ抽出機構についてさらに検討を要することがわかった。 2.薄層流通セルを用いた定常膜輸送実験 支持体としてポリプロピレン平膜(膜厚50μm,孔径0.2×0.02μm)を用い、油膜を通してのトリプトファン、水酸化物イオン、塩化物イオンの透過速度に及ぼす諸因子の影響について検討した。また支持液膜を通しての輸送機構を膜内拡散律速であると仮定したモデルを作り実験結果と比較した。実験の結果、被抽出液側のpHには最適値が存在することがわかった。また膜内拡散律速と考えうる実験条件を探索し、その流束のデータから有効拡散係数Deff及び支持体屈曲係数τを求めτ=1.3〜1.7の値が得られた。これはさきに中空糸膜について得られた値の約半分である。実験から得られたτの値を用いて、モデルから各イオン種の膜透過速度に及ぼす諸因子の影響を計算したところ、計算値と実測値はほぼ一致し本実験範囲では油膜内拡散律速を仮定したモデルが適用できることがわかった。今後は複数種のアミノ酸の同時輸送機構について研究する計画である。
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