1986 Fiscal Year Annual Research Report
液体食品の噴霧乾燥における微量香気成分の散失と防止策の研究
Project/Area Number |
61550713
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Research Institution | University of East Asia |
Principal Investigator |
古田 武 東亜大, 工学部, 教授 (10026164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉井 英文 東亜大学, 工学部, 講師 (60174885)
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Keywords | 乾燥 / 噴霧乾燥 / 拡散 / 香気成分保持 |
Research Abstract |
マルトデキストリン水溶液中に、徴量香気成分としてエチルアルコールまたはアセトンを容積濃度で200ppmだけ溶解させたものを模擬液体食品とし、この液を用いて直径約2mmの液滴を作り、熱風中で乾燥させた時の香気成分の残留量の変化を測定した。乾燥に用いた熱風の温度,湿度,速度およびマルトデキストリンの濃度を種々変化させ、乾燥後の固体中に含有されるエチルアルコールおよびアセトンの量に与える影響を検討した結果、次の結論を得た。 1.マルトデキストリンの初期濃度が高い程、香気成分の残留量は高い。特に初期濃度ば30%以上になると残留量は急激に高くなる 2.温度が高く、低湿度の熱風を、高速度で流して乾燥した場合に残留量が高い。特に湿度の影響が著しい。 3.香気成分の散失は、乾燥の初期に著しく起り、乾燥の末期に至っては、ほとんど散失しない。香気成分の散失速度は、ある乾燥時間を境として著しく変化する。肉眼観察による結果と比較すると、この時間は、液滴表面に乾燥被膜が生成する期間とほぼ一致する。 模擬液体食品を、固体,水および微量香気成分系の3成分と考え、不可逆過程の熱力学によって導出された多成分系の拡散移動方程式を電子計算機により数値解析して、香気成分残留率を理論的に推算した。計算結果は、実験結果と工学的精度の範囲内で良く一致した。特に乾燥の諸条件が、香気成分残留率に与える影響(上記1.〜3.)については、定性的のみならず、定量的にも、実験結果と一致した。 非水溶性香気成分の散失機構については、現在試料の組合わせ、香気成分の分析法等について検討中である。
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