1986 Fiscal Year Annual Research Report
ペロブスカイトを触媒電極とした固体電解質セル酸化反応器の開発
Project/Area Number |
61550714
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長本 英俊 東大, 工学部, 講師 (40111471)
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Keywords | 固体電解質 / 触媒電極 / 電気伝導性酸化物 / ペロブスカイト型酸化物 / 酸化カップリング反応 / 酸素ポンプ |
Research Abstract |
イットリア安定化ジルコニアを固体電解質とした二重管構造の反応器を作製した。触媒電極として、銀ペーストと【L_(a1-x)】Srx Co【O_(3-8)】の二種類を用い、600〜800°Cでメタンの酸化反応を行った。共沈法によるペロブスカイト型複合酸化物の作製条件に関して検討を行った。その結果、以下の知見が得られた。1.酸素分圧10〜【10^5】Paの範囲で作製した固体電解質セルを酸素センサーとして作動させた場合、理論値と精度よく一致した。印加電圧の無い場合には、反応中の触媒電極上に吸着した酸素の活量がこれによって測定できることが分った。メタンを燃料とした燃料電池とした場合にも理論起電力とよく一致した。2.固体電解質に電圧を印加し、酸素ポンプとして作動させた場合、酸素の輸送速度は電流値より精度よく測定されることを確めた。3.銀ペースト電極を用い、予め気相中で混合する予混合酸素と固体電解質内を透過する透過酸素の活性について検討を行った。酵素供給速度を一定とした場合に、透過酸素の方が、酸素反応率で2倍、またエタンなどのC2化合物の選択性で3倍以上、換言すれば、透過系によるC2生成速度は予混合系のそれより一桁近く大きいことが示された。活性化エネルギーの値は、透過系で【CO_2】生成C2生成ともにほぼ130KJ/malであったのに対して、予混合系では、【CO_2】生成に200KJ/mol,C2生成に280KJ/molとなり、予混合酸素と透過酸素とでは反応機構が異なることが示唆された。4.LaCo【O_3】電極の場合、報告されている様に完全燃焼が非常に高活性であり、予混合系,透過系ともに酸素反応率はほぼ1で全て【CO_2】に転化した。この結果より、ペロブスカイト酸化物の金属イオン種の選択が重要であることが分った。探索実験の結果、Aサイトの金属としては、アルカリ土類金属が有望であることが示された。次年度はCa,Sr,Baと4価のTi,Ce,Zrより成る酸化物について検討する予定でいる。
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