1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61560019
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
田辺 猛 東京農大, 農学部, 教授 (50078101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉井 富士雄 東京農業大学, 農学部, 講師 (40078176)
元田 義春 東京農業大学, 農学部, 講師 (30078175)
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Keywords | 直播水稲の断根栽培法 / 直播水稲施肥管理改善 / 断根深層施肥 / 生理的ストレス / 断根による水稲の形態的変異 / 直播水稲の耐倒伏性 |
Research Abstract |
水稲直播栽培法における施肥技術の改善について検討した。即ちポツト土耕法で乾田直播の形式でホウネンワセを栽培し、分げつ初期及び幼穂形成期にいわゆる断根直後さらには切根を伴った要領で土中12cm深に施肥し、生育収量と操作上派生する形態生理学的な影響との関連性を考究した。その結果分げつ初期の断根で一時的な生育停滞を認めたが、その後新根の旺盛な発生で地上部生育量を増大し、むしろ直播の特有な生育相を一層助長した。このことから初期の断根施肥は栄養生長期の後半の栄養バランスをくずし、株当り穂数の多い割に登熱の程度を低下させた。また幼穂形成期の切根施肥は初期と異なり、切根に伴なう生育停滞は生態的に認め難いが登熱への効果は大きく、むしろ根部活力を高めて極めて有効的手法となりうることを認めた。本研究で特徴づけられることは切根後いずれの時期ともに地下部生育が新根の発生で健全化に導くことが判明した。従ってこの特性を生育生産に充分活用出来ることが示唆された。このことは肥培管理上で施肥時期の設定が重要である事を意味する。また、新根に伴って一時的に水分ストレスを生じ、熱散抵抗値及び木部圧ポテンシヤル値の増大など生理的に特異性が認められた。この傾向は、生育後期の発熟期まで継引され、乾性生理的となって下位節間の稈壁の肥厚,短縮によって耐倒伏性に導くことが明らかとなった。特に、この傾向は分げつ初期の断根施肥でより大きいことが確認された。また、切根直後はいずれの時期ともに葉中の葉緑素含量の低下、さらに葉緑素の分解能も増大し、サイトカイニンの生成移行の阻害が認められたが、新根の旺盛な発生で漸次回復して、その後はむしろ葉緑素を増大して、登熟期の下葉の枯れ上りを防ぐなど生産に大きく関与する作用のあることが確証され、本研究の新知見としてあげることが出来、直播水稲栽培における施肥管理技術に導入されうることが判明した。
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