1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61560022
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
石原 愛也 岩手大, 農学部, 教授 (20011827)
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Keywords | リンゴ台木 / 葯培養 / 胚培養 / 珠心培養 / カルス培養 / 再分化 / 珠心胚実生 |
Research Abstract |
1.葯培養による半数体の育成 リンゴ矮性台木M9、M26樹より緑蕾期〜紅蕾分離初期の花蕾を採取し、0〜10日間低温貯蔵後、Murashige・Skoog(MS)培地を用い、1瓶当り5または10個宛、合計1163個の葯を培養した。その結果、M26の紅蕾分離初期の花蕾を5日間低温処理し、10個宛植付けた葯の1個に不定胚形成を認めた。また19個の葯が花粉起原と思われるカルスを形成したが、これらは発育段階の若い(緑蕾期〜中心花のみ紅蕾期)、低温貯蔵日数の短い(0〜2日)、瓶当り10個宛植付けた葯に限られた。 2.マルバカイドウ×M9の交雑実生育成、マルバカイドウの盛岡セイシ、長野立ち性1号、2号を母本とし、M9の花粉を人工受粉した。合計185花中9花が結実し、これから得た12胚をMS培地を用い、つぎのように培養した。まず25℃、暗所に20日間おいて胚的生長させたのち、約3℃の暗所で180日間低温処理してから、25℃の明所に移した。その結果、5胚(盛岡セイシを母本とするもの3、長野立ち性1号を母本とするもの2)が発芽生長した。これらは現在ミクロ繁殖中である。 3.珠心培養による珠心胚実生の育成.M9、M26、マルバカイドウの珠心培養をMS培地を用いて行ない、M9の6.4%、マルバカイドウ長野立ち性1号の2.2%の珠心に胚形成をみた。これらの珠心胚は昨年育成したものとともに現在ミクロ繁殖中である。また、M9の63.1%、マルバカイドウ盛岡セイシの11.7%の珠心にカルス形成をみた。 4.カルス培養による再分化系の確立。上記1に述べた葯培養のカルス、および3に述べた珠心培養のカルスを用い、Fusarium oxyspornm f.sp.lycopersiciの生産する生理活性物質であるbiakaverinを種々の濃度に添加したMS培地で再分化を試みたが、現在までのところ再分化をみていない。
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