1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61560040
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
岩田 隆 大阪府立大学, 農学部, 教授 (70007227)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 悦範 大阪府立大学, 農学部, 講師 (50081550)
南出 隆久 京都府立大学, 生活科学部, 助教授 (60081551)
|
Keywords | 青果物 / 品質 / カルシウム / トマト / ペピーノ果実 / 富有柿 |
Research Abstract |
前年度に続き, 青果物におけるカルシウム(Ca)の生理作用を調べるため, 果実の追熟現象と低温障害に伴う組織の軟化とCaの関連性を検討し, 以下のことが明らかになった. 1.トマト果実の成熟に伴う呼吸のクライマクテリックとエチレン生成に及ぼすCaの影響 Caをトマト果実に減圧浸透処理すると10mM以下では裂果が抑えられ, 100mM以上では裂果ならびに追熟が抑制された. また, Ca処理果ではエチレン生成量ならびに果肉の着色も抑えられたが, CO_2排出量にはほとんど影響がなかった. 細胞膜の膜抵抗性をカリウムの漏出速度から調べたところ, Ca処理は膜機能に明らかな変化をもたらさなかった. Ca処理は, トマト果実の追熟に伴う果肉の軟化を抑制したが, これはポリガラクチュロナーゼとペクチンエステラーゼがCaによって阻害され, 活性低下を生じたためであることがわかった. 2.ペピーノならびに富有柿の低温障害果における組織の軟化とCaの関連性 ニュージーランド酸のペピーノと富有柿を用いて低温障害発生状況と細胞内Ca, マグネシウム(Mg)含量を調べたところ, ペピーノにおいては, 低温障害の発生する以前に水溶性Caが増加した. 一方, 富有柿は0°Cに1〜2週間貯蔵すると果肉はゼリー状の水浸状態になるが, その時の組織内Caは健全果よりも少なく, 存在形態としては, ペクチン・タンパク質結合型Caよりも水溶性Caの多いことがわかった. また, Ca/Mg比は, 健全果, 障害果とも果皮, 果肉部ではほぼ同じ割合であったが, 中心部では障害果が高い値を示した. これらの結果から, 果実の低温障害による組織の軟化(水浸化)に, ペクチン・タンパク結合Caの遊離化が関与しているものと推測された.
|