1986 Fiscal Year Annual Research Report
カンキツbrown spot病菌の病原性決定因子(AC毒素)と宿主識別機構
Project/Area Number |
61560055
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
甲元 啓介 鳥取大, 農学部, 教授 (80032093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 基一郎 鳥取大学, 農学部, 助手 (00183343)
尾谷 浩 鳥取大学, 農学部, 助教授 (50032305)
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Keywords | 宿主特異的毒素 / ラフレモン / ミトコンドリア / 光による抑制効果 / 感染誘導 / 脱共役 |
Research Abstract |
感受性カンキツ(ラフレモン)におけるACR毒素の第1次作用点はミトコンドリア(Mt)にある。今回は単離Mtの呼吸活性に対する本毒素の作用を検討した。外生NADH駆動の呼吸系に毒素(1μg/ml)を添加すると呼吸調節能の失活を引起し、【O_2】消費が脱共役的に促進された。またph計を用いてMt膜の微小【H^+】変化を測定すると、感受性Mtに毒素を処理した場合だけ膜電位障害が生じた。一方、リンゴ酸基質の場合は、毒素添加により【O_2】消費の著しい抑制がみられた。この毒素処理で抑制された酸素消費は、NADの添加により再び増大した。また、Mt内在のNADの漏出を測定した結果、感受性Mtだけに毒素処理によるNAD漏出量の増大が認められた。これより、本毒素は、ラフレモンの細胞内Mtに、Mt膜電位障害を伴う脱共役およびTCA回路の補酵素NADの漏出という2つの効果を及ぼすことが明らかとなった。 感受性ラフレモンのACR毒素処理葉組織からは電解質の異常漏出も観察され、Mtへの毒素作用が原形質膜の透過機能障害を誘起するものと考えられている。このような電解質の異常漏出は光照射下(2300lux)で著しく抑制され、壊死斑形成も阻止された。しかし、単離Mtの呼吸に対する毒素の効果は光に全く影響されなかった。光による毒素作用の抑制効果は、毒素処理後3時間以上の暗期が続くと消失した。また、暗下および明下で腐生性Alternariaの胞子を毒素とともに感受性葉にスプレー接種すると、暗下では誘発された菌の感染が、明下では抑制された。以上の結果から、ACR毒素の第1次作用点であるMt呼吸における毒素作用は光に影響されないが、その後の原形質膜機能障害過程に3時間以上の暗期が必要であること、また、菌の感染成立には膜機能障害が重要であることが示唆された。なお、ACT毒素群については毒素の純化問題と予備的生理実験で終ったが、本研究の主要な研究目的はほぼ達成できたものと考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 秋光和也 他: 日本植物病理学会報. 53. (1987)
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[Publications] 秋光和也 他: 日本植物病理学会報. 53. (1987)
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[Publications] Keisuke Kohmoto: Koream Journal of Plant Pathology. 2. (1987)
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[Publications] Syoyo Nishimura: "Molecular Determinants of Plant Diseases" Japan Sci.Soc.Press,Tokyo/Springer-Verlag,Berlin, 293 (1987)