1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61560063
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
向山 文雄 農工大, 農学部, 教授 (80014934)
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Keywords | カイコ / 幼若ホルモン / 飼料効率 |
Research Abstract |
幼若ホルモン類縁化合物(JHa)をカイコに投与すると繭生産量が増すと報告されているが、経過の延長、食桑量の増加等がみられ、繭糸生産に対する飼料効率について改善されているかは不明である。そこで本実験では、人工飼料育蚕の5齢初期にJHaを投与し、その影響を栄養の摂取および分配、特に窒素の留存、代謝を中心に究明し繭糸生産との関連を調査した。用いた品種は支140号×日140号,JHaはメトプレンを使用し、噴霧並びに経口投与した。 JHa投与により5齢期間の延長と体重の増加が認められた。また繭重、繭層重も増加した。しかし、繭層歩合は投与による向上が認められなかった。なお、絹糸腺の発育が投与期間中は遅延し、その後は増加した。後部糸腺の核酸量も投与終了時には対照を下回り、以後増加した。繭糸たんぱくのうち、フィブロインのみを特異的に染色するフェノチアジン系の色素の一種であるチオニンを投与し、中部糸腺への絹たんぱく移行におよぼすJHa投与の影響を調査したところ、JHa投与によって移行の遅延が認められた。 飼料の食下、消化に及ぼすJHa投与の影響をみると、投与期間中と投与終了後2,3日にかけて、食下量、消化量が低下したが、それ以降熟蚕時までは増加した。なお投与濃度が高いほどその影響は強くあらわれた。5齢期の総食下、消化窒素量はJHa投与により増加した。しかし、投与期間中に限ると両者とも逆に減少し、消化率も低下した。また5齢体内各組織の窒素留存量を調査したところ、投与により絹糸腺への留存が一時低下する現象が示された。繭層、蛹体窒素量を5齢総食下窒素量、消化窒素量で除し、留存率を算出したところ、JHaの投与により繭層への留存率が低下し、蛹体への留存率が高くなることが明らかになった。
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