1986 Fiscal Year Annual Research Report
炭素・窒素化合物が登熱中に葉・茎から収穫部位に再編成される機作の種間差
Project/Area Number |
61560068
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大崎 満 北海道大学, 農学部, 助手 (60168903)
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Keywords | 作物種間比較 / アミノ酸 / 炭水化物 / 膜物質 / 転流 / 呼吸 / 【^(14)C】-シュクロース / 【^(14)C】-グルタミン |
Research Abstract |
登熟期間中における炭素・窒素化合物が茎葉から収穫部位に再編成される機作の種間差を明らかにする目的で、各種作物(水稲,トウモロコシ,大豆,バレイショ)の登熟期における茎葉・収穫部位の構成成分の変化を調査し、以下の結果を得た。 1.茎葉で糖・澱粉などの易動性の炭水化物が不足してくると、ヘミセルロースも再利用されるが、作物種によりこの程度は異なっている。 2.窒素の主な転流形態は遊離アミノ酸であるが、その組成は作物種、部位、生育時期により異なり、転流・合成に対応して変化する。 3.蛋白質のアミノ酸組成は作物種、部位、生育時期による差はほとんどなく、各種アミノ酸が幅広く存在する。 さらに、以上の知見の理解を深める目的で、水稲の登熟期間中においてa)窒素供給条件が窒素の再転流におよぼす影響と、b)葉より取り込ませた【^(14)C】-グルタミン、【^(14)C】-シュクロースの【^(14)C】炭素の挙動を調べ、以下の結果を得た。 1.葉における同化炭水化物の主な転流形態であるシュクロースは、直ちに子実へ転流し、呼吸による損失も少く、主に澱粉に合成され、一部は蛋白質に取りこまれる。2.登熟期に培地から多量の窒素が供給されても、茎葉から子実への窒素の再転流が起こり、この再転流した窒素が子実中の窒素の50%を占めることから、再転流窒素が子実の登熟に必要であると推定される。 3.葉で取りこまれたグルタミン構成炭素は、シュクロースに比べ、その代謝・転換は著しく、まず葉において転換され、呼吸に使用される割合が多く、子実へ転流する割合は少く、子実中では主として糖・澱粉の構成分となる。
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