1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61560074
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古川 久雄 京大, 国立大学(その他), 助教授 (00026410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 茂 京都大学, アフリカ地域研究センター, 助教授 (00158734)
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Keywords | 赤黄色土 / 岩質・風化度区分 |
Research Abstract |
赤黄色土の分布は全国的に知られているが、奄美以南に分布するものを除いて、過去の湿潤亜熱帯気候条件下で生じた古赤色風化殻であると見なされている。しかしながら、亜寒帯から暖温帯にまたがるこれらの土壌を赤黄色土として一括し得るかという点に関しては、広域的な比較研究がなされていないために不明確な点が多い。この点を明らかにすべく全国的な赤黄色土の調査を行なった上、地域的な生成的特徴、分類的位置づけを明確にする。昭和61年度は東海・北陸地方の赤黄色土を対象に調査を行った。東海地方では大井川,天竜川等大河川の周辺に巨大扇状地礫層(大阪層群最上部相当)を発達させており、母材と土壌の相互関係が広い範囲にわたって追跡された。近畿地方の当該土壌との比較では、東海地方のものは一般に赤色風化殻が2m程度と薄く、またくさり礫層の存在も限られていた。このことは近畿地方の巨大扇状地礫層と比べて、時代的に新しい可能性を示唆していた。一方、北陸地方(能登)ではくさり礫層を砂丘砂が覆い段丘面の高さに応じて数枚の赤色土層(トラ斑)が見いだされた。中位段丘上の砂丘砂の中にも古土壌が存在することも考えあわせると、当地域においては継続的な砂の供給がおこなわれ、段丘形成に伴なってそれらが固定化され、順次赤色土化作用を受けたと考えられる。現在、室内実験を継続中であり、岩質指数(LI),風化度指数(WI)の算出により地域間の比較をおこなう。また、粘土鉱物分析によると、段丘礫層とその上に発達する赤黄色土では母材が異なっており、材料的な若返り現象が予測された。尚来年度より2名の研究分担者を追加した。これは赤黄色土の肥沃度評価を熱帯・亜熱帯の赤黄色土との関連でおこなう上で一層の成果が期待され、また赤黄色土地域の生態的評価をおこなう上で必要と認めたためである。
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