1986 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質シトルリン残基をアルギニン残基に変換する新しい修飾酵素の存在とその性質
Project/Area Number |
61560083
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
菅原 潔 茨城大, 農学部, 教授 (40007662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高原 英成 茨城大学, 農学部, 助手 (30122063)
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Keywords | 蛋白質修飾酵素 / シトルリン残基のアルギニン残基への変換 |
Research Abstract |
〔目的〕新らしい蛋白質修飾酵素ペプチジルアルギニンデイミナーゼ(PADIase)は筆者らによりはじめて明らかにされた酵素で、アルギニン残基の重要性から考えて、生体制御反応をはじめ多様な生理的機能が推定される。しかし、この酵素反応は不可逆的であり、生体制御機構への関与を考えるとき、逆反応機構、すなわち、蛋白質シトルリンイミノ化酵素の存在が推測されたので、その酵素の存在と性質について検討した。 〔方法〕酵素液の調製には主に仔牛胸腺を用いた。活性測定は(1)Bz-Cit-OEtを基質としアルギニン残基の蛍光法による測定、(2)大豆トリプシンインヒビター(STI)の活性中心Arg-63をCit-63に修飾した修飾STIを基質とし、生ずるSTIのトリプシン阻害活性の測定、(3)〔【^3H】〕-Bz-Cit-OEtを基質とし、高圧濾紙電気泳動法により分離後〔【^3H】〕-Bz-Arg-OEtの放射能の測定等によった。修飾STIの調製には固定化RADIaseを用い、残存STIは固定化トリプシンカラムによって除去した。プロテアーゼ活性はリマゾールブリリアントブルーハイドパウダーを基質とする高感度測定法によった。 〔結果〕(1)修飾STI調製のためのPADIaseのセファロース4Bへの固定化を試み成功した。(2)Bz-Cit-OEtを基質とする蛍光測定では、仔牛胸腺,マウスの顎下腺,膵臓,脳および胸腺にアルギニン残基陽性反応が見られた。最適pHは7.4で、活性発現にはATPおよび【Mg^(2+)】を必須とする事が判った。(3)反応生成物の確認は〔【^3H】〕-Bz-Cit-OEtを基質とし、仔牛胸腺抽出液を作用させ、高圧濾紙電気泳動回からBz-Arg-OEtの生成を確認した。(4)アルギニノサクシネートシンテターゼをラット肝臓より部分精製し、上記の基質には作用しないことを確めた。(5)仔牛胸腺抽出液の0.5〜0.8飽和硫安沈澱画分に活性が見出されたが、同一画分に同胸腺では従来未知のATPおよび【Mg^(2+)】を必須とする新しいプロテアーゼを見出した。上記酵素の精製にはこのプロテアーゼの分離が課題となった。
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Research Products
(2 results)