1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61560085
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内藤 博 東大, 農学部, 教授 (80034445)
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Keywords | ジゼロシン / ヒスタミン / ヒスタミンレセプター / 胃潰瘍 / 胃酸過多 / 魚粕 / 魚粉 / 筋胃びらん |
Research Abstract |
1.ニワトリヒナの腺胃粘膜細胞をコテゲナーゼ消化法により分離調製し、その分離細胞を用いて、細胞の酸素消費量を指標に胃酸分泌量を推定する条件を確立した。この細胞系を用いて、ヒスタミンおよびジゼロシンによる胃酸分泌促進を解析し、ジゼロシンとヒスタミンはほぼ同程度の活性で分泌促進効果を示すことを明らかにした。また、環状AMP存在下で分泌活性を測定すると、その活性が著しく促進されることから、ジゼロシンによる胃酸分泌促進機構は、ヒスタミンと同様、アデニル酸シクラーゼの活性化による環状AMPの生成促進であると結論した。 2.胃粘膜細胞表面のジゼロシンレセプターの性質を解析する目的で、上記単離細胞に対するジゼロシンの分泌促進効果が、ヒスタミンの【H_1】レセプター、【H_2】レセプターのいずれによって阻害されるかをしらべたところ、【H_2】レセプターの拮抗阻害剤であるシメチジンによって、ジゼロシンの効果が顕著に抑制されることを認めた。この結果は、invivoで認められるジメチジンの効果とよく一致していた。この結果から、ジゼロシンは、胃粘膜細胞表面のヒスタミン【H_2】レセプターに結合し、作用発現するものと結論した。 3.上記のニワトリヒナによる結果をふまえ、ジゼロシンの哺乳動物におよぼす効果を明らかにするため、ラツトにジゼロシンを投与する実験を行った。ラツトに、ジゼロシンを投与すると明らかに胃酸分泌が促進されることが、胃内容液のPH測定、および総酸度測定で明らかになった。ジゼロシンの活性は、ヒスタミンの約10倍と推定された。ジゼロシンと同時に、インドメタチンを投与して、胃潰瘍発症の有無を調べたところ、病理学的に明確な胃潰瘍の発症は認められなかった。哺乳類では、鳥類と異り、胃酸過剰の場合に対する防御機構が十分作用するものと推測しているが、今後より詳細な解析が必要と考え、研究を進めている。
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