1986 Fiscal Year Annual Research Report
β-クロロアラニンの有用アミノ酸への酵素的転換に関する研究
Project/Area Number |
61560117
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長沢 透 京大, 農学部, 助手 (60115904)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 昌 京都大学, 農学部, 助手 (70093250)
和泉 好計 京都大学, 農学部, 助教授 (40026555)
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Keywords | β-クロロアラニン / L-システイン / 【B_6】酵素 / 酵素的転換 / D-システイン / Bacillus sphaerincus / Pseudomonas putida |
Research Abstract |
人工のアミノ酸であるβ-クロロアラニンはいくつかの【B_6】酵素の自殺基質となり酵素の活性中心近傍を攻撃する親和標準試薬として【B_6】酵素の研究に用いられてきた。一方【B_6】酵素の中でもα,β-脱離やβ-置換反応を触媒する酵素群にとっては反応に際し、酵素の自殺は起こらず、β-クロロアラニンが大変良い基質となる。また最近β-クロロアラニンの工業的レベルでの安価な生産が可能となりつつある。そこで我々はβ-クロロアラニンを有用アミノ酸に酵素的に転換することを目的とした試みを行ってきた。我々は既に土壌より分離したβ-クロロ-L-アラニン耐性菌Bacillus sphaerus L-118の細胞抽出液がサルファイド存在下でβ-クロロ-L-アラニンをL-システインに変換する酵素活性を見出し本酵素を精製し結晶状に単離している。諸性質の検討から本酵素は【O!-】-アセチルセリンスルフヒドリラーゼであること、また本酵素は培地中にβ-クロロ-L-アラニンを添加することによって数倍に増大生成されることを明らかにした。次に本酵素反応を用いてβ-クロロ-L-アラニンをL-システインに効率よく転換させるための反応条件を検討した。本反応の至適pHは10.5付近にあり30℃で2時間の反応で80%の転換率で70g/lのL-システインが合成された。生成したシステインを反応系外に除くためのアセトン添加は生産性を高めた。以前、我々はL-システインデスルフヒドラーゼのβ-置換反応を用いたL-システイン合成法を検討しているが、これと異り本酵素はスルフィドに特異的であり種々のメルカプタン類は基質とならなかった。本酵素はシステインデスルフヒドラーゼとは異り生成したL-システインの分解反応を触媒しないので反応条件のコントロールがより容易であった。次にβ-クロロ-D-アラニンのD-システインやその誘導体への酵素的変換を目的としてβ-クロロ-D-アラニン耐性菌Pseudomonas putidaを分離し本菌が強いD-システイン合成活性を示すことを明らかにした。
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[Publications] Toru Nagasawa: Journal of Biotechnology. 2. 365-377 (1985)
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[Publications] Toru Nagasawa: European Journal of Biochemistry. 153. 541-551 (1985)
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[Publications] Toru Nagasawa: Appl.Biochem.Biotechnol.13. 145-165 (1986)
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[Publications] 長沢透: 日本農芸化学会誌. 161. 165-174 (1987)
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[Publications] Toru Nagasawa: "Biotechnology of Amino Acid Production Progress in Industrial Microbiology" Elsevier Science Press, 7 (1986)
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[Publications] Toru Nagasawa: "Methods in Enzymology" Academic Press, (1987)