1986 Fiscal Year Annual Research Report
好熱性微生物のアミノアシラーゼの酵素化学的性質の解明とアミノ酸生産への応用
Project/Area Number |
61560119
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
谷澤 克行 京大, 化学研究所, 助手 (20133134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江崎 信芳 京都大学, 化学研究所, 助手 (50135597)
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Keywords | アミノアシラーゼ / 耐熱性酵素 / 【N!_】-アシルアミノ酸 / ジペプチダーゼ / アセトアミドアクリル酸 / 金属酵素 |
Research Abstract |
1.好熱性細菌を中心とした微生物におけるアミノアシラーゼの分布と耐熱性アミノアシラーゼ高生産菌の検索。【N!_】-アシルアミノ酸を単一窒素源として資化生育する微生物を、研究室保存菌株および陸水,土壌等広く自然界にスクリーニングして、アミノアシラーゼの分布を調べたところ、常温菌ではグラム陰性菌,グラム陽性菌を問わず極めて多種類の【N!_】-アシルアミノ酸資化性菌が分離できた。しかしながら、これらのうち生育温度60度以上の好熱性を示すものは非常に少なく、Bacillus属の2,3菌株が取得できたにすぎなかった。中でも中等度好熱性細菌Bacillus stearothermophilusおよびBathermoglucosidusは比較的高いアミノアシラーゼ活性を示した。2.B.stearothermophilus IFO12985株からアミノアシラーゼの精製を行なった結果、本菌中には非耐熱性のアミノアシラーゼとともに、アミノアシラーゼ活性を示す類似の酵素、ジペプチダーゼの存在することが明らかになった。このジペプチダーゼを本菌株から約150倍、均一状態に精製した。本酵素は60度30分間の熱処理でも全く失活しない耐熱性酵素であり、各種の【N!_】-アシルアミノ酸やジペプチドに広く作用して加水分解するユニークな酵素である。また本酵素の分子量は約86,000で、分子量的に同一なサブユニット2個から構成されている。さらに本酵素は酵素1分子当り2原子の亜鉛を含有する金属酵素であるが、興味あることに酵素活性はマンガンおよびコバルトイオンにより大きく促進される。3.上記2.のジペプチダーゼを含め市販のカビのアミノアシラーゼ,動物のアミノアシラーゼを用いて合成【N!_】-アシルアミノ酸の一種であるアセトアミドアクリル酸の反応性を調べた結果、本基質はアミノアシラーゼにより酢酸,アンモニア,ピルビン酸に加水分解されることが明らかになった。本加水分解反応を利用するアミノアシラーゼの迅速簡便測定法を開発することができた。
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