1986 Fiscal Year Annual Research Report
細菌の生産する蛋白性細菌細胞壁溶解酵素阻害剤に関する研究
Project/Area Number |
61560127
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
荒井 基夫 阪府大, 農学部, 教授 (80081537)
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Keywords | 酵素阻害剤 / 蛋白性阻害剤 / 細菌細胞壁溶解酵素 / リゾチーム / N-アセチルムラミニダーゼ |
Research Abstract |
放線菌のN-アセチルムラミニダーゼを阻害する物質を生産する細菌No.SMK-6024株の大量培養を行ない、培養液から硫安塩析,SP-セファデックスカラムクロマト,セファクリルS-200によるゲル濾過により、電気泳動的に均一な阻害剤(LEI)を600mg分取した。本阻害剤の分子量は32,000とゲル濾過で求まったが、SDS電気泳動では16,000であり、2量体として存在することが明らかとなった。本阻害剤は放線菌のムラミニダーゼを強く阻害するか、Bacillus 細菌のオートリシン,動物起源の卵白リゾチームや人乳リゾチーム,植物起源のカブラリゾチームは阻害しなかった。即ち、本物質は極めて特異性が高いことが明らかとなった。 一方、卵白リゾチームを阻害する物質を生産する細菌No.I-139株の大量培養を行ない、培養液から、硫安塩析,DEAEセファデックスカラムクロマト,セファクリルS-200ゲル濾過,卵白リゾチームを固定化したカラムを用いたアフィニティクロマトにより電気泳動的に均一な阻害剤(【I】-139)を100mg分取した。本物質の分子量はゲル濾過で54,000SDS電気泳動で14000であり、4量体として存在するものと考えられる。本阻害剤は各種鳥類の卵白リゾチームや人乳リゾチーム等の動物リゾチームを阻害するか、微生物起源や植物起源のムラミニダーゼ類には作用しない。本阻害剤は冷室に放置すると沈澱が生じ、沈澱自体には阻害活性がないが、上清と合わせると阻害活性が強くなった。即ち、本阻害剤は2つの機能に分けえることが明らかとなった。これら阻害剤の一次構造については現在検討中である。
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[Publications] 荒井基夫,王三郎,加藤正孝,星野正美,村尾澤夫: 日本農芸化学会昭和62年度大会要旨集. 671 (1987)