1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61560132
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
桑原 保正 筑波大学, 応用生物化学系, 教授 (10026536)
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Keywords | カイロモン / 寄生蜂 / 寄主認識麻酔行動解発物質 |
Research Abstract |
1)メイガコマユバチの寄主認識麻酔行動解発物質の解明 重要な貯穀害虫メイガ科マダラメイガ亜科の4種共通に寄生するメイガコマユバチBracon hebetorは寄主の糞の抽出物を濾紙片を含ませて与えると、丹念に触角で触れて調べてやがて腹部を前方に曲げ、麻酔のための毒針を刺す行動を示す。このカイロモンを寄主認識麻酔行動解発物質と定義し、スジマダラメイガの糞20リットルを材料にヘキサン抽出し、クロマトグラフ法と誘導体化を組み合わせて単離(254mg、10^<-3>ug/濾紙片で活性)した。IRから-OHの存在を、NMRから二重結合の存在と鎖状化合物であることを、メチル化-アセチル化物の質量分析からカイロモンの分子量の知見が得られた。さらに機器分析と分解反応を組み合わせて、その構造を9,10-ジヒドロキシ-シス-12-オクタデカン酸と決定した。リノール酸を出発材料としてスレオ及びエリスロ体の9,10-ジヒドロキシ-シス-12-オクタデカン酸を合成した。合成物の活性は天然物の1/10ではあるが顕著な活性を示した。なお協力物質の存在も予想され、さらに詳細に検討したいと考えている。なおこの物質は動物由来としては最初の例である。 (2)シバンムシアリガタバチのカイロモン 近年都市部で大発生し人によっては猛烈なかゆみを伴う虫刺され症を引き起こし、重大な衛生害虫となっているシバンムシアリガタバチが寄主であるタバコシバンムシやジンサンシバンムシを探索し、寄主を認識するカイロモンを、タバコシバンムシの蛹室を材料として精製した。活性成分は複数と考えられ、そのうち主要な2分画の成分について化学的性質が解明できた。1成分はステロイドの脂肪酸エステル、他の成分は分子中に3個以上不飽和二重結合を含むトリアシルグリセロールと結論した。それぞれの成分について解明を急いでいる。
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Research Products
(1 results)