1986 Fiscal Year Annual Research Report
アマドリ転位生成物の酸素ラジカル生成能と核酸切断活性
Project/Area Number |
61560141
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
柏村 直樹 三重大, 農学部, 助教授 (20026412)
|
Keywords | アマドリ転位生成物 / DNA切断活性 / 自動酸化 / 酸素ラジカル / たんぱく質の損傷 / バクテリオファージの不活化 / 多糖の損傷 / 還元糖 |
Research Abstract |
還元糖が、緩衝溶液中自動酸化反応により活性酸素種を生成することが著者らによって見出され、その後その生化学的意義、糖の構造と反応性、生体高分子損傷反応等が検討された。本課題では、食品中や血液中に存在し、古くから研究の多いアマドリ転位化合物に着目し、モデル反応、および糖たんぱく上のアミノ糖の自動酸化反応の性質とDNA,たんぱく,多糖の損傷反応の性質を詳しく検討した。1.【=!D】-グルコース誘導体のアマドリ転位生成物4種を合成し、その酸素ラジカル生成能,in vitro核酸切断能,バクテリオファージ不活化能を検討し、還元糖や反応性のより高い部分置換還元糖よりさらに大きな反応性を有していることがわかった。2.たんぱく質上のアマドリ転位物のモデルとして、【=!D】-リボースとBSA、リゾチームをリン酸緩衝液中、37℃で反応させ、生成物を単離し、損傷の程度を調べ、in vitroの生物活性を詳細に検討した。その結果、たんぱく上のアマドリ転位化合物では、酸素ラジカル生成能、核酸切断能は有するが、ウイルス不活化能はほとんど示さないという興味ある知見を得た。3.モデル化合物のトルイジノフラクトースについて、核酸切断およびウイルス不活化の起る条件で、多糖の損傷反応を検討した。即ち、重合度既知の多糖について、【Cu^(2+)】の存在下、グリコシドの切断反応をHPLCで定量的に追跡したところ、アマドリ転位物や還元糖では、多糖の損傷は認められなかった。4.反応性についての検討から、アマドリ転位物は、置換基、糖の構造、たんぱくの構造の相異等により、異った酸素ラジカル生成能とDNA切断活性を有し、in vivoにおける変異原性の可能性が示唆された。また、類似構造を有する糖オキシム、ヒドラゾンも同様な生物活性を有することが強く示唆され、【=!D】-グルコースについて予備的に実験を行った結果、エナミノール系中間体を経由すると思われる自動酸化反応と生物活性が確認された。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] N.Kashimura: Carbohydrate Res.,. (1987)
-
[Publications] N.Kashimura ed.M.Fujimaki: "Amino-carbonyl reactions in food and biological systems" Kodansha LTD.,and Elsevier, 584 (1986)