1986 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光着色土砂粒子による飛散侵食土砂の移動距離の測定について
Project/Area Number |
61560155
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
中島 勇喜 山形大, 農学部, 助教授 (70038298)
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Keywords | 蛍光着色粒子 / 雨滴侵食 / 飛砂 / 土砂移動 / トレーサー |
Research Abstract |
蛍光着色粒子をトレーサーとして用い,本年度は雨滴衝撃力によって飛散した土砂粒子の移動距離について,人工降雨装置下で実験的検討を行った。また、盛土のり面における侵食土砂の粒径分布を測定し、人工降雨装置下で得た結果の検討を行った。検討事項は(1)蛍光粒子の1回の跳躍距離について,及び(2)降雨時間と平均移動距離について、である。これらについて,実験斜面が砂で構成さた場合と,その構成砂上を布で被った斜面の場合について検討した。得られた結果について以下に示す。 イ.蛍光粒子の1回の跳躍距離について 実験斜面が砂及び布で被われた場合のいずれにおいても、1回の跳躍距離は蛍光粒子の粒径が小さいものほど長い。 2.降雨時間と平均移動距離について 実験射面が布で被われた場合には小粒径階の粒子ほど移動距離が長く,1の結果が適用できる。しかし、実験斜面が砂で構成された場合には,1の傾向は成立せず、斜面構成土砂の中央粒径より小さい粒径階の蛍光粒子の移動距離が短く、それより大きい粒径階の蛍光粒子では長い。特に、構成土砂粒子よりやや大きな粒径階に属する蛍光粒子の移動距離が著しく長い。これらの傾向は盛土のり面における侵食土砂の粒径分布を調べた結果とも一致していることが確認された。さらに、降雨時間に対する移動距離の増加割合は、降雨時間の経過にともなって減少する。 これらの現象から,侵食土砂の移動距離を実験式で表示する場合、斜面構成土砂の粒径(D)と蛍光粒子の粒径(d)との相対値(d/D)が重要な指標となることが明らかとなった。このd/Dを指標として,蛍光粒子の平均移動距離を求める無次元の実験式を求めることができた。
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