1986 Fiscal Year Annual Research Report
森林流出水に含まれる養分物質の濃度・量に影響を及ぼす要因について
Project/Area Number |
61560166
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩坪 五郎 京大, 農学部, 助教授 (00026395)
|
Keywords | 森林流出水 / 養分物質濃度 / 垂直濃度変化 / ハイドログラフ / 一時出水 / 基底流 |
Research Abstract |
斜面に沿っての土壌に含まれる水溶性養分物質濃度変化とその標高での流出水の濃度の関係を調査した。とくにカルシウムとマグネシウムに、斜面上部より下部にむかって濃度増加の傾向が、土壌水と流出水の双方において認められた。 森林集水域斜面下部に深さ0cmから70cmにいたる計7本の塩化ビニール製パイプを埋め、森林土壌流出水の垂直的濃度及び量の変化を測定した。流出水量については、各層間に大きな変化は認められなかった。アンモニアは降水、林内雨を経てAo層において濃度最大となり、以後鉱物質層にいたって土壌深とともに濃度は急速に低下した。硝酸はアンモニアと似た傾向を示したが、鉱物質層5〜10cmにおいて濃度最大となり、以後ゆるやかに濃度は減少した。カルシウム、マグネシウムなどのミネラルは、土壌層20〜30cmにおいて濃度最大となり、以後減少した。しかし、70cm深においても、どの元素もなお流出水に較べて高い濃度を保持している。70cm以深、岩磐層に至る間の土壌流出水の濃度変化を更に調査する必要がある。 流出水量と流出水養分濃度の関係を、集水域末端に設置した量水堰堤流出水によって分析測定した。カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムは、流出水が基底流か地表流を含んでいるかにかかわらず、指数関数的な負の相関を示した。塩素とリンについては、ほぼ一定であった。アンモニア、硝酸、有機態窒素はバラツキが大きかったが、ハイドログラフと自動採水器の組み合せによる集中的採水分析の結果、ある程度の分離が可能となった。すなわち、基底流の時はミネラル類と同様、流出水量と負の相関をもつが、一時出水の際には流出水量の増加とともに濃度上昇し、水量の低減とともに濃度も減少して旧に復する傾向が認められた。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Goro Iwatsubo: 日本林学会誌. 64. 187-192 (1982)
-
[Publications] Goro Iwatsubo: 日本林学会誌. 64. 419-428 (1982)
-
[Publications] 岩坪五郎: 琵琶湖研究所々報. 3. 14-27 (1983)
-
[Publications] Goro Iwatsubo: 日本林学会誌. 66. 446-453 (1984)
-
[Publications] Goro Iwatsubo: 日本林学会誌. 67. 471-477 (1985)