1986 Fiscal Year Annual Research Report
ヒメヤシャブシ及びオオバヤシャブシ林分の花粉を含む純生産量と再生産機構の研究
Project/Area Number |
61560177
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
齋藤 秀樹 京府大, 農学部, 助教授 (20026636)
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Keywords | 花粉 / 有性生殖 / 再生産 / 純生産量 / 乾物生産の配分 / ヒメヤシャブシ / オオバヤシャブシ / 現存量 |
Research Abstract |
滋賀県野洲町のヒメヤシャブシ低木林P,同県土山町のオオバヤシャブシ幼齢林【S_Y】及び壮齢林【S_M】において調査区を設定し、幹枝葉と生殖器官各部分の現存量及び生産量を伐木法(【S_M】除く)とトラップ法で調査を開始した。先駆樹種である両樹種の葉現存量は極相林の値と一致し、また地上部現存量密度は0.55kg/【m^3】で、これも高木林の値の範囲になっている。林分Pでは今年度の花粉をはじめとする生殖器官各部分の生産量(乾重と個数)を測定して、乾物生産量の分配及び開花から種子形成までの再生産初期過程について考察した。開花時に大気中に放出される花粉量は、開花直前の雄花序にふくまれる花粉量とトラップ法による林分1haあたりの開花雄花数とをかけて推定した。ヒメヤシャブシ雄花序1個にふくまれる花粉量を6本の樹木について調査したところ、樹木によって約55%の差が認められた。その平均は100.7mg,1.767x【10^7】粒である。林分Pの1986年の生殖器官生産量は420kg(dry weight)/ha・yr(100%)で、部分別の乾物分配は次のとおりとなった。開花雄花 106kg/ha・yr(25%),花粉121(29),未開花雄花6.63(1.6),成熟果穂(空の)124(29),種子61.7(15),未熟果穂0.73(0.17);雄性234(56),雌性186(44)。形成された雄花芽数のうち16%が開花せず、雌花序も12%が落果した。林分の花粉粒生産数は2.12×【10^(13)】/ha・yr,成熟果穂9.48×10,種子9.77×【10^7】であった。種子に対する花粉粒の生産数の比は2.2×【10^5】であり、この値は他のヒメヤシャブシ林やハンノキ林における比に大略等しい。果穂に対する花粉粒の比(2.2×【10^7】)も他のヒメヤシャブシ林のそれに一致した。来年度は今年度と同じ調査を行い、各器官部分の生産量及び再生産初期過程を明らかにし、また積上げ法による花粉をふくめた地上部純生産量を求める。
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