1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61560184
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
富田 文一郎 東大, 農学部, 助教授 (40012075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水町 浩 東京大学, 農学部, 教授 (40022165)
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Keywords | ユリア樹脂 / ユリア・メラミン共縮合樹脂 / ポリヒドラジド / 中性硬化 / 放散ホルムアルデヒド |
Research Abstract |
本研究の目的は、通常は酸性条件下で硬化されて使用するユリア樹脂接着剤やユリア・メラミン共縮合樹脂接着剤をヒドラジド化合物により中性条件下で硬化せしめて利用する新しいシステムを開発することにあり、放散ホルムアルデヒド量の低減、耐久性向上を狙いとしている。本年度の研究結果は次のようにまとめられる。 1.低分子のポリヒドラジド化合物では芳香族系(例えば、イソフタロイルジヒドラジド)を合板製造に用いた場合、通常のユリア樹脂より耐水性に優れた。一方、低分子のアミン類は硬化剤として実用性が認められない。 2.ポリメチルメタクリレート(PMMA)から合成したポリマー型のポリヒドラジド(ポリメチルメタクロイルヒドラジド)は、硬化反応性が高く、ユリア樹脂中の遊離ホルムアルデヒド量とメチロール基量の和に対する至適なモル比で良好な結果を与える。カバ材を用いた引張りせん断試験、合板による接着試験で、常態ならびに耐水強度は、通常のユリア樹脂またはそれ以上を示した。また、デシケーター法による放散ホルムアルデヒドの測定では、ユリア樹脂の放散量の半分以下となった。 3.本システムはユリア樹脂中の遊離ホルムアルデヒドとメチロール基の両者をヒドラジド基と反応せしめることを狙いとしているが、従来の報告では前者との反応が確認されているものゝ、後者との反応は確認されていない。この点を確認するため、種々のモデル化合物を合成し、【^(13)C】-NMRにより分析したところメチロール基とヒドラシド基の反応が確認され、本システムの妥当性が学術面からも証明された。 来年度は、ポリマー型のポリヒドラジドを種々合成し、硬化特性,実用適性を検討するほか、この系を用いた分別塗付法を開発する。
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[Publications] 三宅克正: 第36回日本木材学会大会研究発表要旨集. 142 (1986)
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[Publications] 三宅克正: 第37回日本木材学会大会研究発表要旨集. (1987)
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[Publications] 富田文一郎: 日本木材学会誌.