1986 Fiscal Year Annual Research Report
螢光法による木材の分子配向の測定法の確立とその応用
Project/Area Number |
61560186
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
伏谷 賢美 農工大, 農学部, 教授 (80014950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 敬一 東京農工大学, 農学部, 助手 (90178723)
久保 隆文 東京農工大学, 農学部, 助教授 (00015091)
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Keywords | 螢光法 / リグニン / 分子配向度 / 木材 / 螢光顕微鏡 / 細胞壁 / 螢光偏光成分強度比 |
Research Abstract |
1.リグニン自体が発する螢光の配向分布からリグニンの配向分布を求める方法について検討した。測定試料としては、ヒノキ,カバ,ブナ,ホオノキ,ミズナラを用いた。いずれの樹種の各螢光偏光成分強度比とも、試料の厚さの増加に伴って増加した。螢光偏光成分強度比【I_11】(90°)/【I_11】(0°)は、その厚さに対して直線的に増加するが、厚さ依存性は小さい。一方、【I_1】(0°)/【I_11】(0°)および【I_1】(90°)/【I_11】(0°)は、約60μmまで直線的に増加するが、それ以上の厚さでは直線から少しはずれるものが多く、厚さ依存性がかなり大きかった。試料媒体の影響を除去した真の螢光偏光成分強度比は、試料厚さと螢光偏光成分強度比との関係を試料厚さゼロに外そうすることによって求めた。この螢光偏光成分強度比から分子配向度を求めた結果、いずれの樹種ともリグニンが繊維方向にわずかに選択的に配向していることが認められた。その分子配向度は、カバが最も高く、次いでホオノキ,ミズナラ,ヒノキ,ブナの順であった。さらに、このリグニンの真の配向分布を用いて3次元的分子配向形式について解析する。 2.木材の細胞壁自体が発する螢光の強度分布を螢光顕微鏡で観察した。ヒノキ,アカマツ,カバの木口切片では、細胞壁全体から螢光を発しているのがみられたが、リグニンの濃度が他の壁層に比べて著しく高い細胞間層で最も螢光が強かった。しかし、樹種による差異はほとんど認められなかった。板目切片についても、木口切片と同じく細胞壁全体で螢光が発することがみられたが、樹種,早・晩材による明確な差異は認められなかった。さらに、アセチル化した木材に螢光性分子を導入し、その細胞壁における螢光性分子の分布状態を螢光顕微鏡で観察し、アセチル化による分子配向度の変化との関係について検討する。
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