1986 Fiscal Year Annual Research Report
X線CTスキャナを用いた乾燥過程の木材中の水分移動に関する研究
Project/Area Number |
61560189
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
金川 靖 名大, 農学部, 助手 (90023481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 芳明 名古屋大学, 農学部, 助手 (80180909)
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Keywords | X線CTスキャナの応用 / 水分分布の非破壊測定 / 水分の非定常拡散係数 |
Research Abstract |
医療用のX線CTスキャナを用いて、木材中の含水率分布を非破壊的に測定する手法を完成させた。従来、X線CTスキャナを医療目的以外に応用した例は少なく、この場合でも被測定物の密度分布を画像化する範囲に留まっていた。しかしながら、木材中の水分量の多寡もまた見かけ上は密度の高低として検出されるため、CT断層像の注意深い取り扱い、特にはCT断層像における木材質の密度分布による補正、実測した含水率値とCT数との相関を種々の状況の下で明らかにする等によって、CT数から含水率への換算が含水率±1%の精度で行なえる手法を確立した。この過程ではX線の線質硬化、端面効果による誤差を除くための物理的フィルターの開発なども含まれている。 以上の手法を木材中の水分が経時的に減少していく乾燥の過程に応用し、非破壊的かつ連続して木材中の同一断面での水分分布の変化を追跡した。木材中の自由水あるいは結合水の移動については古くから多くの研究があるが、試験材内部の水分分布を適確に知る手段が無かったため、水分の駆動力を明らかにするには至っていない。本研究は非破壊的に同一断面の水分分布を連続的に測定し得る特徴を生かし、実測された含水率分布の経時変化から、駆動力を水分濃度、水蒸気圧、あるいは化学ポテンシャルとしたときの拡散係数を非定常状態の拡散方程式の数値近似解法によって求めた。また、平均化した拡散係数を基に含水率分布をシュミレーションし実測結果と比較した。以上の結果、駆動力を水分濃度(含水率)とした場合拡散係数は温度の要因を考慮することによってかなり広い含水率範囲の水分移動を表現し得ることが明らかとなった。また、現段階では不確定な部分もあるが、材質的には均一な試験材にあっても、その中央部と表層部では移動性に差異のある結果を得ている。
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