1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61560202
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
麦谷 泰雄 北海道大学, 水産学部, 助教授 (50001615)
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Keywords | 耳石 / 日周輪 / カルシウム代謝 / 有機基質 / 日齢査定 |
Research Abstract |
魚類耳石の日周輪の形成機構を明らかにするために、耳石の主成分であるCaとCa沈着の基質として重要な蛋白質の耳石への沈着リズムを調べた。実験材料としてはニジマス成魚を用い、耳石を含む小嚢組織を6時間間隔で24時間に渡り摘出し、これを【^(45)Ca】と【^3H】グルタミン酸を含むリンゲル液中で2時間培養し、これらの物質の耳石への沈着量を液シンで測定した。又血清CaとNa量の日内変動についても調べた。 血中Ca量は約8%の有意な日内変動を示し、16:00時に最大になり、日没後急減し、22:00時に最低に成った。血中Na量には日内変動は認められなかった。耳石へのCaとグルタミン酸の沈着には、いずれの場合にも有意な日内変動が認められ、しかもその位相はお互いに逆の関係にあった。すなわち、耳石へのCaの沈着パターンは血中Caの変動パターンと類似しており、16:00時にピークとなり、22:00時に最低に成った。一方、グルタミン酸の沈着は、16:00時にはむしろ低く、22:00時にピークを迎えた。従って耳石に沈着した、Ca/グルタミン酸比にも明瞭な日内変動が認められた。又耳石を包む小嚢組織部分へのこれら物質の取り込みは、Caに関しては一日を通じてほぼ一定のレベルであったが、グルタミン酸の取り込みには16:00時をピークとする有意な日内変動が認められた。 以上の結果から、耳石の日周輪は、Caと基質蛋白の位相を異にする沈着の結果として形成され、夕方に相対的にCaに富む層(成長層)ができ、夜間に基質に富む層(不連続層)が形成されることが明らかに成った。この際、血中Caの変動は、耳石へのCa沈着割合に密接に関係しており、又小嚢組織における基質蛋白質の合成・分泌にも日内リズムがあることがわかった。尚血中カルシトニン量の測定については、現在抗血清を得た段階であり、今後定量を行う予定である。
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Research Products
(1 results)