1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61560209
|
Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
井上 實 東京水産大, 水産学部, 教授 (20017007)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町井 紀之 東京水産大学, 水産学部, 講師 (60181666)
有元 貴文 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (20106751)
|
Keywords | 学習放流魚群 / 視覚運動反応 / 走性 / 回収実験 / 走觸反応 / 音響 |
Research Abstract |
[目的] 魚群には視覚運動反応により移動物標に対して追従行動を示すものが多い。視覚運動反応は走性の一種で生得的な反応であるが、学習によりその反応が強化される。本研究では視覚運動反応装置(以下,スクリーン)と餌料とによりイシダイとマアジに学習訓練を行ない、その反応が強化されるかどうか、またその学習効果が放流魚群の回収に役立つかどうかを検討した。 [方法] 実験は本学坂田実験場の屋外水槽(18×8×1.3m)で行った。スクリーン(直径1m,高さ1mの円筒体の針金枠に白黒ビニールテープを交互に巻いた鉄棒)を水槽中に設置し、これをモーターで23cm/secで回転させた。1986年10月21日に魚群を水槽に放し、翌22日から11日間,学習訓練(回転するスクリーン中に投餌,スクリーン回転により魚群を接近させる訓練)を行った。学習訓練終了後40日間のうち、5回スクリーンへの反応を観察した。 [結果] イシダイは本来、視覚運動反応を有するが、訓練開始当初はスクリーンを回転しても、スクリーンに接近,滞留する魚群は少なく、20尾程度がスクリーン内に短時間滞留するだけである。しかし、訓練開始後5日目には全個体がスクリーン回転と同時にスクリーン内に入り、群をなして回転遊泳するようになった。この時点では靜止しているスクリーンにも接近するようになった。この行動は物体への走觸反応と思われるが、スクリーン内での滞留時間は短く、接近,滞留は主としてスクリーンの回転への反応と思われる。しかし、モーターや装置の発生する音響にも多少学習づけられていた。学習魚群を装置付近に回収する効果は、学習完了後の経過日数とは余り関係なく、最終実験の40日目でも明瞭な反応が示された。マアジ群はイシダイ群と混泳することなく別行動をとったが、学習獲得はイシダイと同様で装置への反応も顕著であった。
|