1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61560220
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
西田 睦 琉大, 理学部, 助手 (90136896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 幹夫 長崎大学, 教育学部, 教授 (10039430)
上田 拓史 琉球大学, 理学部, 助手 (00128472)
諸喜田 茂充 琉球大学, 理学部, 助教授 (50045027)
西島 信昇 琉球大学, 理学部, 教授 (80044981)
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Keywords | アユ / 琉球列島 / 分布 / 生息状況 / アイソザイム |
Research Abstract |
琉球列島に生息するアユの分布、生息状況、分類学的特徴等について、ほぼ計画どおりの研究を実施し、いくつかの重要な成果を得ることができた。1986年8月に琉球列島の沖縄島,奄美大島,中之島および屋久島の主要河川を踏査した結果 アユの生息が確認できたのは、奄美大島と屋久島のみであった。沖縄島でのアユの絶滅はほぼ確実となった。また、トカラ諸島にはアユは分布しないことも明らかになった。採集した標本の形態的および生化学的分析を行なったところ、屋久島のアユは日本列島型アユとしての特徴を示し、奄美大島に生息する琉球列島型アユとは明瞭に異なっていた。したがって、琉球列島型アユの分布北限は奄美大島であることが確実になった。また上の調査の結果、琉球列島型アユの生息数が比較的多かったのは、奄美大島の役勝川であった。この河川は、環境の人為的荒廃があまり進んでおらず、アユの生息に適した中流域の流程がある程度広いこと、さらに数年前より地元の人々による保護施策がとられていることが、比較的多くのアユの生存を可能にしていると思われる。以上の知見はそれぞれ近く論文にまとめて公表する予定である。 奄美大島産アユの産卵についてのこれまでの予備的調査結果を分析し、産卵期や産卵場所を予測した論文を取りまとめて投稿した。さらに1986年12月には、役勝川で産卵生態および流下仔魚の調査を行なった。その結果は現在分析中である。 奄美大島で採集した標本の形態および生化学的形質の分析結果を、すでに得ている日本列島産アユについてのデータと詳しく比較し、琉球列島型アユの分類学的位置を明確にすることができた。この結果に基づき、このアユを正式に亜種として記載した論文をまとめて投稿した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 西田睦,内村真之: 琉球大学・理学部紀要.
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[Publications] Nishida,M.: Japan.J.Ichthyol.
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[Publications] Nishida,M.;Y.Sawashi: Bull.Japan.Soc.Sci.Fish.
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[Publications] 西田睦,他: "「日本の淡水魚類-その地理的分布と種分化」" 東海大学出版会,