1986 Fiscal Year Annual Research Report
魚類の筋肉コラーゲンに関する生化学的並びに食品化学的研究
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61560233
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉中 禮二 京大, 農学部, 講師 (70026483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 守 京都大学, 農学部, 助教授 (50026481)
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Keywords | 魚類 / 血合筋 / 普通筋 / 筋肉コラーゲン / ヒドロキシプロリン / 遊泳様式 / 生息水温 |
Research Abstract |
1.遊泳様式の異なる5魚種(ウナギ,イシガレイ,マダイ,アサバ,クロマグロ)について、各魚から血合筋と普通筋を採取し、さらに普通筋を体幹背部,体幹腹部,尾前部,尾後部に分けた。各部位のコラーゲン含量を求め次の結果を得た。(1)anguilliformで泳ぐウナギ,イシガレイでは普通筋各部位のコラーゲン含量に大きな差異はなかった。(2)subcarangiformで泳ぐマダイでは尾後部普通筋のコラーゲン含量は他の部位より若干高かった。(3)carangiformのマサバ,thunniformのクロマグロでは尾後部の普通筋のコラーゲン含量は他の部位よりかなり高かった。(4)どの魚種でも血合筋のコラーゲン含量は全普通筋のそれより高かった。(5)遊泳時に屈曲する部位の筋肉コラーゲンの含量の高い事実から、コラーゲンは筋肉構造の保持や力の伝達等に重要な役割を演じていると推論した。2.筋肉からコラーゲンを単離するには、多量に存在する非コラーゲン物質を前処理によって除去する必要がある。そのため試料を0.1N NaOHで抽出した残渣から、0.5M酢酸でコラーゲンを抽出する方法について検討した。その結果、(1)得られたコラーゲン標品は不純物を含まない,(2)標品は未変性である,(3)リジノアラニンの生成はない,等が明らかとなった。これらの結果を基にして、アルカリ処理を含む筋肉コラーゲンの精製法を確立した。3.硬骨魚類15種の体幹背部普通筋から上記の方法により酸可溶性コラーゲンを単離し、そのヒドロキシプロリン(Hyp)含量を求めた。各魚種の産卵・ふ化に最適な水温をそれぞれの魚種の最適生息水温と考え、Hyp含量と生息水温の関係を求めた。その結果、最適生息水温と筋肉コラーゲンのHyp含量との間に正の相関関係が認められた。魚類においては生息水温に適応してコラーゲン中のプロリンの水酸化量が調節され、生成したHyp残基がコラーゲンの熱安定性に寄与している事がわかった。次年度も当初の計画通り研究を継続する。
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