1986 Fiscal Year Annual Research Report
Skeletonema costatumが産生する自己増殖阻害物質に関する研究
Project/Area Number |
61560236
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
今田 信良 九大, 農学部, 助手 (60038247)
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Keywords | 植物プランクトン / 増殖阻害物質 / プランクトン種間の競合 |
Research Abstract |
1.酢酸エチル抽出:栄養塩添加海水にS.costatumを無菌的に接種し、通気しながら25℃,6〜7000lx,12時間照明の条件で培養した。最大増殖期を過ぎ、大部分のS.costatumが死滅し、白濁した培養液を1夜静置し、その上澄液をミリポアフィルター(0.45μm)で濾過した。この培養濾液中の自己増殖阻害物質の分離には活性炭処理法よりも酢酸エチル抽出法が優れていたので、培養濾液のpHを2〜3に調整した後、酢酸エチルで3回抽出し、酢酸エチル層を合わせ、40℃、減圧下で蒸発乾固した。 2.ゲル濾過:酢酸エチル抽出物を適量の蒸留水に溶解した後セファデックスG-15カラムにかけ、蒸留水で溶出し、5mlずつ分画した。235nmにおける吸光度の測定から、0〜120ml,120〜200ml,200〜290mlおよび290〜600mlの4つの画分(【I】〜【IV】)を得た。各画分を増殖阻害試験に供したところ、画分【II】がS.costatumの増殖を強く阻害した。 3.薄層クロマトグラフィー:ゲル濾過によって得られた画分【II】を酢酸エチルで抽出し、数mlに濃縮した後、シリカゲル薄層(メルク,60【F_(254)】,10×20cm)に帯状に吸着させ、アセトンで展開したところ、紫外線下で蛍光を示す3個のバンドと蛍光を示さない3個、計6個のバンドに分れた。各バンドの薄層を剥ぎ取り、ガラス濾過器に移し70%メタノールで溶出した。メタノールを除去した後増殖阻害試験に供したところ、蛍光を示す1個のバンド(Rf0.63)のみが強い阻害効果を示した。また、そのバンドはジアゾp-ニトロアニリンと水酸化ナトリウム溶液の噴霧で淡黄色を呈し、フェノール性化合物であることを示唆した。本年度は単離した阻害物質が微量であり、その化学構造を決定するに至らなかった。来年度はS.costatumを大量培養し、本阻害物質の化学構造を決定するとともに、その化学的特性を明らかにする予定である。
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