1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61560239
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
神谷 久男 北里大, 水産学部, 教授 (80011964)
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Keywords | アメフラシ / アマクサアメフラシ / 抗菌物質 / 抗腫瘍物質 / 高分子生理活性物質 / アルブミン腺 |
Research Abstract |
アメフラシのアルブミン腺より分離した抗菌,抗腫瘍タンパク質アプリシアニンAの化学的性状を調べた。卵の活性成分であるアプリシアニンE(分子量25万)とは異なり、分子量32万の糖タンパクで、分子量8.5万のサブユニットから構成されることがわかった。このような化学的性状の相異にもかかわらず、抗菌性や抗腫瘍性は互いによく似ていた。また、アミノ酸組成においてもCySを欠くなど共通する点が多い。アプリシアニンEに対するウサギ抗血清およびアプリシアニンAに対する抗血清に対して両者とも沈降線を形成するが、スパーも認められた。したがって抗原的にも共通する部分があるらしい。アルブミン腺で産生されるAは受精卵にコーティング、産卵される過程でEに変わるらしい。また、受精卵の抗菌性の消長を追跡したところ、ふ化後5〜6日目になると抗菌性がほとんど消失することがわかった。この時期にはベリジャー幼生になっており、殻の形成あるいは基本的な、個有の生体防御系は備わっているものと考えられる。一方、血球凝集活性はプランクトン幼生がハッチするまで残存していた。 アメフラシ近縁のアマクサアメフラシの卵およびアルブミン腺中の抗菌成分についても精製を進めたところ、アルブミン腺抽出物中には分子量の異なる2成分が、また、卵には1成分あることが確認できた。アルブミン腺中の1成分についてはほぼ単品を得ることができたが、分子量約37万の糖タンパク質で、SDS-PAGEでは7.8万の分子量に相当する1成分が認められた。卵中の成分についても30万の成分について分離できたが、SDS-PAGEで7.8万の成分が認められ、アルブミン腺のものによく似ている。この点でアメフラシとは様相が異なる。アマクサアメフラシの成分もアメフラシの抗血清で沈降反応をするので抗原的にも類似するところがあるものと思われる。なお、人工受精は成功せず今後の課題となった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Hisao Kamiya: Experientia. 42. 1065-1067 (1986)
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[Publications] R.Goto: Develop.Comp.Immunol.
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[Publications] Hisao Kamiya: Develop.Comp.Immunol.
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[Publications] 安元・神谷編,神谷久男: "水産学シリーズ65"海産有用生理活性物質"無脊椎動物の高分子生理活性物質" 恒星社厚生閣, (1987)