1986 Fiscal Year Annual Research Report
水田型大規模経営の成長過程における経営組織選択の比較分析
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61560246
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
八木 宏典 東大, 農学部, 助教授 (00183666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 邦裕 東京大学, 農学部, 助手 (20167852)
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Keywords | 稲作単一経営 / 水田型複合経営 / 経営組織 / 大規模複合経営 / 作目結合 / 経営方式 / 土地利用方式 / 経営の成長過程 / 雇用型経営 |
Research Abstract |
1.水田型大規模経営の経営組織に関する文献,統計資料の収集整理を行うとともに、とくに本年度は経営耕地規模と経営組織とのおおよその関連を明らかにするために、1985年農業センサスを中心に両者の全国的動向について整理した。(1)経営耕地3ha以上、とりわけ5ha以上の経営では単一経営(農産物販売額第1位部門の割合が80%以上の経営)の割合が圧倒的に大きいが、準単一経営(同60〜80%)の割合も比較的多い。しかし、複合経営(同60%未満)の割合が近年わずかながら増加の傾向にある点が注目される。(2)経営耕地3ha以上の単一経営の主要部門は酪農,稲,果樹などであり、麦類や野菜類の割合は小さい。 2.東日本の主要水田農業地帯として秋田県平鹿郡大雄村および鹿角市を、また西日本の主要水田農業地帯として佐賀県神崎郡千代田町を選び、水田型大規模経営の実態調査を行った。(1)秋田県平鹿郡大雄村は冬期間は雪積等により水田裏作がむずかしいため、稲単作型経営が多いが、近年はホップ,みつば,すいか等が導入され、水稲をベースにしながらも他部門を導入した経営複合化の努力がみられる。鹿角市は水稲の他に果樹(りんご),工芸作物,畜産(肉牛)等を組み合わせた複合経営が多いが、土地利用からみれば水田は一毛作であり、いわば地目の組み合わせによる複合型経営といえる。(2)佐賀県神崎郡千代田町は佐賀平野の東部にあり、米麦作が定着しているが、近年はこれに加えて野菜作,飼料作等を導入した経営の複合化が図られている。この地域には[米+麦],[米+野菜],[米+飼料(酪農)],[米]という、いわゆる稲単作型から水田複合型までの大規模経営が併存している点が一つの特徴である。(3)以上の地域の外に参考事例として北海道,福島県,埼玉県などで数戸の経営調査を実施したが、これらの経営組織間の比較分析は次年度の課題としたい。
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