1988 Fiscal Year Annual Research Report
南西諸島における農地相続慣行と農地の所有構造に関する研究
Project/Area Number |
61560250
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Research Institution | UNIVERSITY OF THE RYUKYUS |
Principal Investigator |
仲地 宗俊 琉球大学, 農学部, 助手 (70180312)
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Keywords | 相続慣行 / 分割相続 / 生活の原理 / 女子への土地分与 / 労働力に対応した土地所有 / 所有耕地面積の零細性 / 農地の賃借 |
Research Abstract |
1 研究の経過 奄美諸島における農地の相続慣行と所有構造に関する調査を行った。調査を実施した集落は、奄美大島住用村市、同西仲間、徳之島伊仙町東伊仙西、沖永良部島和泊町根折、与論島城である。調査対象農家は1集落につき16〜18戸、合計68戸、調査方法は面接調査である。 2 研究の結果 (1) 奄美諸島においては、農地の相続が沖縄以上に分割的であり、かつ均分的である。 (2)家、位牌の相続については、長男相続が多いものの、長男以外の者が相続している例もかなりみられた。 (3) 徳之島伊仙町では、兄弟で位牌を分祀する例がみられた。 (4) 与論島では、女子への土地の分与が広範にみられた。 (5) 次、三男または女子へ土地を分与することの理由としては、分家後の次、三男、婚出した娘の生活の補助ということが強く意識されている。 昭和61年度、62年度、63年度に亘る調査の結果、奄美、沖縄の南西諸島においては、農地の相続は分割を伴いつつなされていることが明らかになった。このことの背景には、土地が家族の生活を支えるものとして観念され、個々の家族構成員に対応したものとして意識されているということがある。その結果、農地所有の構造は極めて零細かつ分散的なものとなる。しかし一方、利用の面では貸し借りや預け預かりといった移動を通して、かなりの程度柔軟な対応がみられる。 今後、利用の面の柔軟性をさらに拡大していくことを視点に据えた研究を企画したい。具体的には不在地主の存在形態と土地所有、新規参入者の土地取得と地域の対応などについて調査を行う予定である。
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