Research Abstract |
冬期間の寒冷気候の下で土壌を凍結させ, その凍結層内に貯蔵空間を設定し, 土壌温度, 凍結深さ, 貯蔵空間の温度及び湿度(測定機構入)の連続測定を行った. 凍結は86年11月20日から始まり, 12月末には凍結深さ44.2cm, 1月末には72.9cmに達した. 最大凍結深さは2月25日に79.0cmを得た. 3月に入り, 下方融解が始まり, 3月末には72.5cmと6.5cm減少した. 上方融解を防止するため3月10日に厚さ200mmの断熱材で被覆をしたため, 融解は3月に発生しなかった. 本格的な上方融解は4月26日から始まり, 凍結層の消失は6月3日に深さ28〜40cmで発生した. 貯蔵庫内は, 冬期の凍結防止のため, 20Wの電球発熱を利用し, サーモスタットで約2°Cに保温された. そして貯蔵庫内の馬鈴薯の減耗率を測定すると5〜6%程度であった事から, 低温貯蔵に充分適する環境が得られることが判明した. しかし, 融解時に上部から水の浸入が発生したため, 貯蔵庫底部の馬鈴薯に腐敗が発生したため, 今後は防水対策を検討する必要がある. 凍結層の温度分布および凍結深さの推移をシミュレートするため, 熱流一般式の一次元偏微分方程式を使用した. これを, クランクニコルソン法による差分形とし, 本解析では時間きざみを1日に, 空間きざみを1cmとし, 境界条件として上限を0cmの実測地温, 下限を深さ5m, 年平均地温の9.2°Cを与えた. この解法の特色は, 便宜上, 凍結完了部, 凍結進行部, 未凍結部の3つに分け, 温度伝導率を3種とした事である. 特に, 凍結時には0〜-0.2°Cの範囲で潜熱を発生し, 融解時には0〜-0.5°Cの範囲で起ると仮定した. そして, 融解時は上部から来る融解水の影響を考慮し, 温度伝導率は凍結時の半分と仮定した. その結果, 凍結時は11〜12月で, 融解時は, 4〜5月で実測値と推定値が良い一致を示した. 凍結消失は実測値より25日遅い結果を得たが, 推定式に横方向の熱流の影響を算入していないためと考えられる.
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