1986 Fiscal Year Annual Research Report
マスコンクリート構造物の温度ひびわれ防止に関する基礎的研究
Project/Area Number |
61560267
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
野中 資博 島根大, 農学部, 助教授 (60093655)
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Keywords | マスコンクリート / フライアッシュC種セメント / クリープ / 温度応力 / 温度ひびわれ |
Research Abstract |
マスコンクリート用の代表的コンクリートとしてフラィアッシュC種セメントコンクリートを用いて、材令5,15,25日の強度試験並びに載荷応カレベルをその40%として各々クリープ試験を実施した。その結果として、まず載荷開始材令の影響については、圧縮・引張とも、単位応力あたりの瞬間弾性ひずみと単位クリープは載荷開始材令が増すにつれて小さくなり、これはコンクリートが硬化しつつある由に、弾性係数が増加し、クリープしにくくなるという真にその通りの結果を得た。ところがこれらの結果を圧縮と引張で比較してみると、大いなる違いがあった。すなわち、単位応力あたりの瞬間弾性ひずみでは圧縮が引張を上回り、単位クリープでは引張が圧縮を上回った。要約すると瞬間的変形は圧縮が大きく、それとは逆に時間依存性変形は引張が大きいという結果となった訳である。この事はどういう事かと云うと、コンクリートの変形特性が強度等と同様に圧縮・引張では異なり、やはりバイモデュラーな性質を持つという事である。さて、この結論を受けると、今までマスコンクリート構造物の温度応力の解析にクリープ解析を使用してきたのであるが、多くは通常圧縮クリープで代表されていたのを、著者は引張クリープで代表させるべきとの見解で行って来たのを再考せざるを得なくなった。すなわち、温度ひびわれが問題であるならば引張側のクリープという直感的な対応でなく、圧縮・引張のクリープに大きな相異がなければそれでよいが、圧縮側・引張側に各々のクリープを使い分けるべきとの考えも出てくるのである。しかしそうすれば解析が複雑になる事は明らかなので、例えばクリープによる応力緩和を小さく評価し、応力発生の大きい安全側の設計を行う為に、クリープの小さい圧縮側で代表させるという発想もあるのである。この点は次年度に継続したいと思うが、クリープ限度の究明とも合せて課題として残したい。
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