1986 Fiscal Year Annual Research Report
風の作用下における閉じた密度成層水域の乱流連行に関する実験的研究
Project/Area Number |
61560270
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森 健 九大, 農学部, 助手 (50117272)
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Keywords | 乱流 / 2成層流 / 吹送流 |
Research Abstract |
本年度は、乱流構造を明らかにすると共に乱流連行を支配する因子を決定するために実験を行い検討した。 実験はオーバーオールリチャードソン数Riをパラメータとして、新規に購入した2方向型熱線流速計および自作の白金板電極型電導度センサを用い、流速,密度の同一点同時測定を実施した。実験により把握された乱れ特性量の性質は以下のようである。 1.u,v方向の乱れ強度は界面近傍を除いてRi数に関係なく、撹乱源である水面近傍で大きく、界面に向って小さくなる。界面近傍では再び大きくなり、このときRi数の影響が顕著である。 2.レイノルズ応力に関しても、界面近傍においてRi数による差異が著しい。 3.乱流構造の構成因子であり連行拡散に強く関与する乱れのスケール、すなわち積分長さスケールはRi数が大きいほど浮力効果により渦が強く変形を受け大きくなる。これはRi数が大きいほど連行への関与が小さくなることを意味する。 4.界面近傍の乱れエネルギー逸散率はRi数が小さいほど小さい。 5.乱れエネルギーが時間的に変化しないものと仮定して、鉛直一次元乱流運動エネルギー方程式の各項を乱流量の測定値を用いて算定し、その収支を検討した結果、とくに界面近傍において、Ri数の影響が顕著であることが明らかとなった。 以上のように、界面近傍における乱流運動エネルギー方程式は、連行速度を求めるのに有用であることが確認された。すなわち、乱流運動エネルギー収支を定量的に検討することによって、Ri数の広範囲にわたる連行速度を一義的に決定することが可能となる。次年度は、この点について詳細に検討する予定である。
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