1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61560290
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上田 純治 北海道大学, 農学部, 助手 (50002374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 弘 北海道大学, 農学部, 助教授 (90001453)
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Keywords | マウス胚 / 遺伝子発現 / 二次元電気泳動法 / 銀染色 |
Research Abstract |
動物の初期胚の生存性について個体差が知られているが、マウスにおいても系統間で胚の生存性の差が知られている。この差の原因を明らかにするため本研究では、二次元電気泳動法と銀染色法を組み合せた生化学的方法によって胚の微量な蛋白質を分析し、その胚の蛋白質合成における遺伝子発現の上から生存性との関連性を追求した。得られた結果は以下のごとくである。 1.胚の電気泳動的に検出されるポリペプチドは、発生に伴なって、数の増減、量的な変化を示し、それは系統間で異なることが確認された。その差は同一集団からの選抜系統間では、僅かであるが、ICR系とC57BL/6系との間では大きいことが判明した。 2.ICR系とC57BL/6系との間では、発生に伴なう遺伝子発現の時間的な差が存在するのに加え、スポットの出現の有無の差も存在していた。 3.ICR系とC57BL/6系の交雑により得られた2細胞期の胚のポリペプチドの様相は、卵子ゲノム由来のものが殆んどを占めていたが、僅かであるが精子由来のものと思われるものも確認出来た。 4.卵管灌流液の二次元電気泳動像は、胚と共通なスポットも見られるが、異なるスポットも多く、また系統間では胚よりも多くの差異があり、胚の生存性の差異に関係していることも考えられた。 5.2細胞期から体外培養した胚の蛋白質合成は、体内発生した胚に比べて、電気泳動的に見るかぎり遅延が生じていることが判明した。 以上の結果より、胚の段階での遺伝子発現からみて、胚の生存性の系統間差異の原因を明らかにすることは出来なかったが、胚の段階で、遺伝的な差異を明らかに出来ること、及び、発生に伴なう蛋白質合成の様相が系統間で異なること、また、体内発生と体外発生とでは、同じ発生期の胚で蛋白質の様相が異なっていることを明らかに出来た。
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Research Products
(1 results)