1986 Fiscal Year Annual Research Report
めん羊単離脂肪細胞のグルコース輸送に対するインスリン抵抗性の機序に関する研究
Project/Area Number |
61560299
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
佐々木 晋一 信大, 農学部, 助教授 (00003682)
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Keywords | めん羊単離脂肪細胞 / インスリン低抗性 / インスリンレセプター / グルコース輸送 / インスリン結合 / インスリンに対する感受性と反応性 / グルコース輸送担体 / グルコースの細胞内代謝 |
Research Abstract |
【^(14)C】-3-O-methylglcuose,【^3H】-cytochalasinBをマーカーとしてめん羊単離脂肪細胞におけるグルコース輸送活性及び輸送担体数に対するインスリン効果を検索し、さらにインスリン結合及びグルコース代謝能に対するインスリン効果をも検索し、同時にラットのそれと比較することによりめん羊脂肪細胞のインスリン抵抗性の機序を明らかにした。得られた結果は以下の通り要約される。 1.インスリンの3-0-methylglucose輸送の促進効果はラットと同様に用量反応的に認められ、その最大効果は基礎値の2.7倍に増加した。しかしながら、ラットに比べ最大効果は著るしく低値(低反応性)であり、用量反応曲線は右方偏移(低感受性)を示した。また、3-0-methylglucoseに対するKmはインスリン存在下、非存在下でラットと差がなかったものの、インスリン刺激Vmaxは有意な低値を示した。2.めん羊脂肪細胞原形質膜に局在する輸送担体数(cytochalasinB結合部位数)はインスリン処理細胞で、ラットと同様に増加したもののその増加率はラットに比して小さく、インスリン刺激Vmaxの増加率と一致した。3.めん羊単離脂肪細胞に対する【^(125)I】-insulinの特異結合はラットのそれの約70%と有意に低く、この低インスリン結合を速度論的に解析したところ、めん羊はラットに比し結合初速度が小さいのみならず、解離速度もまた亢進していることが観察され、この結合の低下率はグルコース輸送の感受性の低下と一致した。4.めん羊脂肪細胞のグルコース酸化および脂質合成に対するインスリンの促進効果は、ラットと同様に用量反応的に認められたものの、ラットに比し基礎値、最大効果とも低値であり、反応性の絶対的な低下が観察されそれはグルコース輸送における反応性の低下率と一致した。 以上の結果より、めん羊単離脂肪細胞のインスリン低抗性はグリコース輸送系に存在していることが明らかとなったが、抵抗性を発現させるのが何であるのかは今後に残された課題である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Shin-ichi Sasaki: The Japanese Journal of Zootechnical Science. 57. 503-511 (1986)
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[Publications] Shin-ichi Sasaki: Hormone and Metabolic Research.
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[Publications] Shin-ichi Sasaki: Endocrinology.
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[Publications] Shin-ichi Sasaki: American Journal of Physiology.