Research Abstract |
本年度は爆砕ポプラの水, メタノール抽出物が, 第1胃内微生物活性に及ぼす影響をin vitroで調べた. まず爆砕ポプラ(28kg/cm^2, 5分間処理)200g(DM87g)を蒸留水600mlで3回抽出し, G2のガラスフィルターで3液をえ, 続けて, 水抽出後の残渣をメタノール800mlで3回抽出し, 同様に3液をえ, 両液とも40°Cでエバポレーターを用い濃縮乾固した後, 真空乾燥し, それぞれ水抽出物とメタノール抽出物を作成した. 一方, アルファルファ乾草, ばん砕大麦(3:2)を給与しているフィステル装着めん羊より給餌前に第1胃内容物を採取し, in vitroの培養に用いた. 第1胃内容物を二重ガーゼでろ過後, 1000rpmで遠沈した上澄で, 人工唾液とともにセルロース粉末0.5gを48時間, CO_2通気下で培養し, 続けて培養液の残渣をND処理し, 第1胃内微生物のセルロース分解能を調べた. また, 第1胃内容物を二重ガーゼでろ過した液(RF)25mlと人工唾液25mlで, コーンスターチ0.9g, カゼイン0.1gを4時間培養し, でん粉消失率をでん粉分解能として測定した. さらにRFを用い, カゼインを基質としてERFLEらの方法に従って, デアミナーゼ活性を調べた. 抽出物は, デアミナーゼ活性については基質の10%, 他の2つについては5.10%添加し, 添加の影響を調べた. 爆砕ポプラの水およびメタノール抽出物の収量は乾物でそれぞれ14.9%, 16.0%であった. メタノール抽出物を添加すると, 第1胃内微生物のセルロース分解能は若干減少したが, 水抽出物については影響はなかった. でん粉分解能はメタノール抽出物添加でいくぶん低下した. またカゼイン分解能は水抽出物添加で増加したが, メタノール抽出物添加で変化がなかった. したがって, メタノール抽出物には, 特定の微生物の活性を低下させる物質が含まれている可能性が考えられた. 爆砕ポプラ中の芳香族化合物の同定については, 液体クロマトグラフィを用いて検討中である.
|