1986 Fiscal Year Annual Research Report
濃厚飼料多給条件下のめん羊における栄養素正味吸収量と代謝調節機構との関連について
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61560320
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
安保 佳一 岩手大, 農学部, 教授 (90005588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 芳也 岩手大学, 農学部, 助教授 (50003786)
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Keywords | めん羊 / 栄養素正味吸収量 / 門脈血流量 / 第四胃内糖質注入 / 小腸内糖質注入 / サリノマイシンの添加効果 / 第一胃内酪酸注入時の高血糖症 |
Research Abstract |
1.めん羊の第四胃内及び小腸内に注入した糖質の吸収に関する量的考察:濃厚飼料多給時に増加するといわれる"ルーメンバイパス澱粉"がどの程度小腸内で消化され、グルコースとして吸収されるかを量的に検討した。第四胃内及び空腸内にグルコース(G),マルトース(M),可容性澱粉(S)を1時間注入し(0.5g/分)、経時的に門脈血(P)と動脈血(A)とを同時採血して血漿グルコース濃度のP-A差を求め、その値にPAH希釈法で測定した門脈血流量を乗じてグルコース正味吸収量を算出した。グルコースの累積吸収量(3時間)は、第四胃内G,M,S注入ではそれぞれ、16.8,8.9,1.2g、空腸内G,M,S注入では17.5,9.6,7.0gであり、注入した糖質の吸収はGで最も速く、Mではその1/2、Sでは著しく遅かった。この試験で注入した澱粉が比較的消化され易い可溶性澱粉であることを考えると、実際にバイパス澱粉に由来するグルコースの吸収量はそれ程大きな意義をもたないように思われた。 2.めん羊の消化管における各種栄養素の正味吸収量に対するサリノマイシン(SAL)添加給与の影響:肉用牛の肥育効率促進作用をもつSAL添加給与時における各種栄養素の正味吸収量を門脈・動脈血濃度差と門脈血流量を測定することによって調べた。粗飼料多給条件下で、対照期(SAL無添加)の値を100として比較すると、SAL添加時(7日,12日目)には、総VFAの増加傾向(108)、プロピオン酸の著増(165)、酪酸の減少(70)、乳酸の減少(35)、殆んどすべての第一次アミノ酸の減少(80)、アンモニアの減少(66)が示された。またグルコースと尿素は何れの時期にも動静脈差は負であり、動脈血が消化管組織を循環する間に消費または消失する事が示された。この研究は来年度引続き実施する。 3:酪酸投与時の高血糖症発現の機作について:酪酸の第一胃内反復注入により発現された高血糖症を血漿グルカゴン,インスリン,ケトン体濃度,酸塩基平衡の変化と関連させて考察した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 安保佳一,中嶋芳也,中原宗博,君塚桂: 日本畜産学会報.
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[Publications] 安保佳一,中嶋芳也,吉田健一,仁田裕徳: 岩手大学農学部報告.