Research Abstract |
種々の飼料給与条件(粗飼料多給(R), Rナサリノマイシン添加給与(SL), 濃厚飼料多給(C), 絶食6日間(F))のめん羊を用いて下記の研究を実施した. 1:採食後12時間のグルコースの累積正味吸収量は, R, SL, C, F期の順にそれぞれ, -20, -35, -20, -3gであり, 何れの期でもグルコースは消化管から吸収されないことが明らかにされた. 2:採食後12時間のインシュリン(IRI), グルカゴン(IRG)の累積正味分泌量は, R期ではそれぞれ, 16U, 2.8μgであった. IRIの正味分泌量は, F期では明瞭に低下し(1.8U), SL期ではR期と同程度(18U)であったが, C期では明らかに高まった(22U). 3:糖負荷時のIRI, IRGの分泌応答ならびに糖処理能(1):糖負荷に応答するIRIの総分泌量は, R期では1792mU, C期とF期ではR期よりも多く, SL期では著しく増加した. (2):糖処理能(半減時間と糖処理係数:K値)はR, F, SLおよびC期でそれぞれ, 21分, 3.5;62分, 1.2;11分, 6.6;41分, 1.9であり, 糖処理能がC期で低下し, SL期で高進することが注目された. 4:腎周囲脂肪組織における酢酸(A), プロピオン酸, グルコース(G)からの脂肪酸合成量ならびに糖・脂質代謝関連酵素活性:各飼料給与条件下のめん羊から局所麻酔下で剔出した脂肪組織切片を用い, in vitroで測定した結果, R期のめん羊におけるGからの脂肪酸合成量はAからの合成量の1/30で, その値はラット脂肪組織でのGからの脂肪酸合成量の1/150に過ぎなかった. 脂肪組織のATP-クエン酸リアーゼ(ACL)とNADP-リンゴ酸脱水素酵素(MDH)活性も, R期のめん羊ではラットに比べてそれぞれ, 1/20, 1/17の低さであった. 他方, めん羊でも, SL期とC期ではR期に比べて, Gからの脂肪酸合成量がそれぞれ, 1.9倍, 4.6倍に増加した. また, それと平行して, SL期, C期ではR期と比べて, AGLが1.5倍, 3.8倍に, MDHが1.9倍, 3.0倍に高まった.
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