1987 Fiscal Year Annual Research Report
酪農有用微生物のコレステロール分解・吸着および生合成阻害活性成分
Project/Area Number |
61560325
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡邊 乾二 名古屋大学, 農学部, 助教授 (70023447)
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Keywords | コレステロール分解酵素 / コレステロールオキシダーゼ / コレステロール吸着性物質 |
Research Abstract |
1.微生物の産生する酵素によるコレステロール分解について:分解した数多くのコレステロール分解細菌の内, 菌体外に酵素を多量に産生するRhodococcus, equiNo.23を用いて, コレステロール分解第一ステップに関与するコレステロールオキシダーゼを精製し, その酵素学的性質について解析した. この酵素(分子量56,000, pI9.8)は失活することなく凝集しやすい性質を有し, 最終的に精製したものはモノマーと凝集体の混合物であった. 至適pHは7.7, 至適温度は47°Cであり, 50°C, 10分間の熱処理に安定であった. さらに, Km値が0.9mMのチオール酵素である事も明らかにした. 2.微生物の産生するコレステロール吸着性物質について:水不溶性のコレステロールを吸着して可溶性とする物質を産生する微生物を探索し, 酵母としてCandida Kefir, Candida tenuis, 細菌としてRhodococcus bronchialis, Bacillus sp.およびArthrobacter sp.を分離・固定した. これらの活性物質は各株共通して酸性多糖であると認められたが, その構成糖は各々で異なっていた. 例えばR.bronchialisからのものは酸性糖(ウロン酸)20%と中性糖(グルコース:ガラクトース, 78:22)80%とで構成された粒子量約4万のものであり, 一方, Bacillus sp.からのものはグルクロン酸を主体とする粒子量約4万のものであった. これらの多糖はコレステロールを吸着すると, 多糖類同志も重合して水溶性ながらも巨大なミセル状物となった. 前述した微生物の培養〓液ないしは分画した多糖溶液を用いて, 鶏卵卵黄とそのLDL, およびラードないしは糞便中のコレステロールおよび酸化コレステロールを吸着除去につき試験した結果, 効果的であると認めた. 1と2の結果を総合して, 本研究の結果は食品中のコレステロールの低減化, 糞便中のコレステロールとその酸化生成物の吸収阻害化が可能である事を示しているといえる.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 渡邊乾二: J. Appl. Bacte.62. 151-155 (1987)
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[Publications] 相原英孝: J. Food Sci.(1988)
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[Publications] 渡邊乾二: 畜産の研究. 41. 703-708 (1987)
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[Publications] 渡邊乾二: 畜産の研究. 41. 805-809 (1987)
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[Publications] 渡邊乾二: 畜産の研究. 41. 923-926 (1987)
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[Publications] 渡邊乾二: 畜産の研究. 41. 1123-1129 (1987)