1988 Fiscal Year Annual Research Report
反芻家畜のメチオニンスルホキシド還元能に関する研究
Project/Area Number |
61560328
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
小野寺 良次 宮崎大学, 農学部, 教授 (60040862)
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Keywords | メチオニンスルホキシド / メチオニンスルホキシドレダクターゼ / 豚腎臓 |
Research Abstract |
昭和63年度の研究計画に沿って、豚の腎臓(豚腎)のメチオニンスルホキシド(MSO)レダクターゼ活性を検討し、以下の結果を得たので報告する。宮崎県西部食肉衛生検査所宮崎支所で屠殺した豚の腎臓を材料とし、昭和62年度研究実績報告書(牛の腎臓の場合)と同様に処理をして酵素活性を測定した。豚腎の場合も超遠心(100,000×g,60分)上清画分に活性がみられた。そこで、以後、便宜上、高速遠心(27,000×g,30分)上清液を用いて検討することにした。その結果、豚腎のMSOレダクターゼの最適pHは、豚の肝臓と同じく、7.0であった。次に、最適pH下で最適温度を検討した結果、これも豚の肝臓と同様37℃であった。このように豚では、最適pHも最適温度も、肝臓と腎臓が同じ値となった。続いて、最適pH並びに最適温度条件下で還元剤によるMSOレダクターゼ活性の促進効果を検討した。その結果、豚腎では、ジチオトレイトール>NADPH>NADH=対象区>グルタチオンの順に高い促進効果が認められた。つまり、促進効果は、牛や豚の肝臓の場合と異なり、ジチオトレイトールとNADPHにしか認められなかった。この点は牛の腎臓でも同様であった。続いて、最適pH・温度条件下で、還元剤としてNADPHを1mM濃度に添加し、豚腎の基質親和性を検討した結果、最大濃度が得られた基質濃度は、1.00mMであり、その結果からLineweaver-Burkの式によって求めたみかけのミカエリス定数(Km)は、0.116mMとなった。最後に、上記の条件で豚腎(10頭分)のMSOレダクターゼの平均活性(単位:nmolメチオニン/hr/g臓器)を測定した。ただし、生理的条件を考慮して測定温度は39℃(豚腎の温度)とし、測定時間は3時間とした。その結果、豚腎の平均活性は、269±19であった。この数値は、牛腎臓の中程度の活性群の値に近い値であり、豚では、腎臓の活性が高い傾向にあることが分かった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Ryoji Onodera.;Takayuki Ushijima.: Journal of Protozoology. 29(4). 547-550 (1982)
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[Publications] Ryoji Onodera.;Ryoichi Migita.: Journal of Protozoology. 32(2). 326-330 (1985)
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[Publications] Ryoji Onodera.;Kenichiro Takei.: Agricultural and Biological Chemistry. 50(3). 767-769 (1986)
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[Publications] Takafumi Nagamine.;Yumi Horikawa.;Ryoji Onodera.: Asian-Australasian Journal of Animal Science. (1989)
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[Publications] Ryoji Onodera.;Takafumi Nagamine.;Yumi Horikawa.: Agricultural and Biological Chemistry. (1989)
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[Publications] 神立誠・須藤恒二 監、執筆者・小野寺良次 他: "ルーメンの世界-微生物生態と代謝機能-" (社)農山漁村文化協会, 842 (1985)
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[Publications] 小野寺良次 他: "家畜栄養学" 川島書店, 340 (1989)