1987 Fiscal Year Annual Research Report
亜鉛欠乏状態における放射性物質の代謝と放射線感受性に関する研究
Project/Area Number |
61560333
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
松坂 尚典 岩手大学, 農学部, 教授 (70003754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
品川 邦汎 岩手大学, 農学部, 助教授 (60133906)
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Keywords | 放射性物質 / 放射性亜鉛 / 亜鉛欠乏 / 体内残留率 / 代謝回転 / ガンマ線照射 |
Research Abstract |
亜鉛欠乏状態下の妊娠動物における放射性亜鉛の代謝および放射線感受性を調べる目的で, 次の実験を行った. 1.妊娠7日目のマウスを低亜鉛飼料群と正常亜鉛飼料群に分け, それぞれの飼料で飼育を始めたのち, 妊娠12日目に放射性亜鉛を1回経口投与して体内残留率を追跡した. それらのマウスが分娩した時, ただちに新生子に取り込まれている放射性亜鉛の量を測定し, 在胎中に胎盤を経て胎子に移行した放射性亜鉛の量を求めた. 2.SPFマウス25匹に低亜鉛飼料を給与してから1週間後に, 750ラドのガンマ線を全身に照射して死亡率を観察し, 正常亜鉛飼料群(25匹供試)のそれと比較した. ガンマ線照射には, 放射線医学総合研究所(千葉市)に設置されているセシウム137ガンマセルを使用した. 結果: 1.低亜鉛飼料を給与された妊娠12日目のマウスでは, 妊娠18日目で体内残留率が投与量の94%となり, 正常亜鉛飼料群の値(19%)に比べて5倍ほど高くなった. また低亜鉛飼料群では, 正常亜鉛飼料群に比較して放射性亜鉛の代謝回転率が低くなった. 分娩直後の新生子マウスにおける放射性亜鉛の取り込み量は, 正常亜鉛飼料群に比べて低亜鉛飼料群の方が高い値を示した. 2.ガンマ線750ラドを照射された低亜鉛飼料群および正常亜鉛飼料群とも, 照射後18日目で死亡率が50%に達し, 両群間で放射線感受性に有意な差が認められなかった.
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[Publications] Matsusaka, N., H. Ise, H. Sakamoto, K. Shinagawa, D. Gerg, and W. E. Kollmer: Jpn. J. Vet. Sci.(1988)