1986 Fiscal Year Annual Research Report
薬物の血漿アルブミンとの結合が薬物の組織分布に与える影響について
Project/Area Number |
61560337
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
小久江 栄一 農工大, 農学部, 助教授 (50014965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下田 実 東京農工大学, 農学部, 助手 (50154323)
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Keywords | ブタ / tissue cage / スルファジメトキシン / スルファモノメトキシン |
Research Abstract |
本研究は、ブタにtissue cageを装着し、経時的に組織液を採取出来る標本を作製すること。その標本を使って、2種のサルファ剤の組織液への移行を調べること。の2点を目的とした。スルファジメトキシン(SDM:蛋白結合率高い。)とスルファモノメトキシン(SMM:蛋白結合率低い)。3頭のブタでの実験で、以下の結果が得られた。(1)tissue cageはステンレススチール性、15号メッシュ。直径2cm,高さ2cmの円筒を使った。(2)cageのとりつけ部位は、下腹部または耳根部が適当であった。(3)tissue cageからの組織液の採取は、手術後7〜12日が適当であった。それ以後ではcage内にフィブリンが沈着し、液の採取が出来なかった。(4)サルファ剤筋注後の、血漿中およびtissue cage内の薬物濃度時間変化を測定した(液体クロマトグラフ)。血漿蛋白結合率の高いSDMはcageへの薬物移行が少なく、それの低いSMMは移行が多かった。一方SDMとSMMの血中半減期は、それぞれ30時間,7時間。cage液中の半減期はそれぞれ30時間,30時間であった。一般に薬物の血中と組液液の半減期は等しい。SMMでの事例は、常識外のことである。我々はこの点に注目し、ウサギを使って、SMMの血中とtissue cage中の半減期を測定した。血中半減期は2時間、cage中半減期は30時間であった。これらの事実は、tissuecage法を動態学へ応用するときの、基本的欠点と考えられる。 現在、tissue cage法自体についての基礎研究を、ウサギで検討している。今までのところ、cage内での組織液の流れを人工的に操作(潅流)してやると、SMMの血中とcage液中の半減期が等しくなることが判明した。この操作はtissue cage法の動態学への新らたな応用法として、意義ある知見と考え、学術論文として発表の予定である。
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Research Products
(1 results)