1986 Fiscal Year Annual Research Report
犬,豚,鶏の糸球体腎炎の比較免疫病理学的研究ならびに疾病学的意義について
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61560341
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
梅村 孝司 鳥取大, 農学部, 助教授 (00151936)
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Keywords | 糸球体腎炎 / 鶏の増殖性糸球体腎炎 / 犬の膜性糸球体腎炎 / 豚の増殖性糸球体腎炎 / 犬糸状虫症 / 自然発生疾患 |
Research Abstract |
1.犬の糸球体腎炎について 147頭の無作為抽出犬の腎臓について組織学的並びに超微形態学的研究を行った。121例に糸球体腎炎が認められ、その内訳は膜性糸球体腎炎32例(21.8%),増殖性糸球体腎炎55例(37.4%),膜性増殖性糸球体腎炎34例(23.1%)であった。国内・外におけるこれまでの報告に比べ糸球体腎炎の発生率が高いことが注目されたが、それは犬糸状虫寄生率が高かったことと関連しているようであった。特に、膜性および膜性増殖性糸球体腎炎の発生と犬糸状虫寄生が密接に関連していることが明らかになった。 2.鶏の糸球体腎炎について 18例の糸球体腎炎例を収集し、組織学的,超微形態学的,および免疫病理学的研究を行った。すべての糸球体病変はメサンニウム増殖性糸球体腎炎に分類し得るものであり、重篤例では糸球体硬化が著明であった。免疫病理学的には、ほとんどの例のメサンニウム基質に軽度の粗大顆粒状の1gG沈着を認めたが、病変の進行とは無関係であり、鶏の糸球体腎炎に対する液性免疫の関与は否定的であった。 3.豚の糸球体腎炎について 約150頭の肥育豚の腎臓を組織学的に検索し、その約20%に増殖性系球体腎炎を認めた。同様病変は繁殖豚では希れにしか存在せず、一過性の感染性糸球体炎がその本態であると考えられた。豚の糸球体腎炎例についてはさらに症例収集を行い、超微形態学的並びに免疫病理学的研究を進める予定である。なお、備品として購入したパワーカッターを用いて各種動物の骨標本を作製し、腎疾患と骨病変の関連性について検討を加えている。
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