1986 Fiscal Year Annual Research Report
高感度体組織アイソザイム分析法の確立とその獣医臨床への応用に関する研究
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61560351
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
安田 準 北海道大学, 獣医学部, 助手 (20142705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
首藤 文栄 北海道大学, 獣医学部, 助手 (60001533)
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Keywords | アイソザイム / アイソエンザイム / LDH / 乳酸脱水素酵素 / CPK / クレアチンホスホキナーゼ / GLDH / グルタミン酸脱水素酵素 / γ-GTP / γグルタミルトランスペプチターゼ / 肝臓病 / 痙攣症候群 / 牛 |
Research Abstract |
1.体組アイソザイフ分離法。牛の血清,臓器,脳脊髄液,尿の分析を試みた。LDHは各試料とも前処理なしで良好に分離した。GLDHは肝臓と血清で、CPKは各臓器と血清で前処理なしで分離可能であった。γ-GTPは肝臓と血清に1%TritonX-100を20μl添加すると分離可能であったが、肝臓を少量の1%TritonX-100中で鋏による細切試料を用いた方がより明瞭に分離した。PAG濃度はLDHは6%,CPKは7.5%の単層ゲルを、GLDH,γ-GTPは4.5〜16%の濃度勾配ゲルを用いた。 2.体組織アイソザイムの臨床応用。(1)採材方法。超音波診断装置の誘導下で牛の肝組織を針生検で得た。従来の穿刺器に比べて牛に対する侵襲性が低く、しかも本測定に供するのに十分な量の試料が得られたので肝疾患診断に際し、より直接的解析が可能となった。尿中酵素活性は従来一日排泄量で表示しているが、蓄尿の困難な獣医臨床では比較的安定して排泄される尿中クレアチニン濃度で随時尿中の酵素活性で除したクレアチニン指数表示が有用であった。(2)牛の肝病変に伴う肝組織LDH,GLDHのアイソザイムパターンの変化。C【Cl^4】及びエチオニン投与実験ではLDH,GLDHとも肝細胞障害が重篤なほどLDHの優勢分画はV分画方向へシフトし、GLDHは最陰極にバンドが出現した。屠場採取の肝臓も同様な傾向を持ち、肝細胞障害が比較的軽い水腫性変性ではLDHは【I】分画が、肝細胞障害が中等度の脂肪化では【II】,【III】分画が、著しく障害された壊孔、線維化では【III】,【IV】分画の比率が増加し、肝病変の程度を知るスクリーニング検査として有用性が認められた。血清LDHアイソザイムは肝疾患症例のほとんどが【I】【II】分画優勢であり肝病変の差異を論ずることはできなかった。(3)痙攣症候群牛の脳脊髄液と血清CPKアイソザイム。脳脊髄液,血清ともBB活性増加を認め、本疾患が神経原性筋疾患であることを示唆した。
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