1986 Fiscal Year Annual Research Report
ラット肝臓類洞細胞による変性アルブミンの取り込みとその分解に関する研究
Project/Area Number |
61570007
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Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
横田 貞記 山梨医大, 医学部, 助教授 (40020755)
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Keywords | 変性アルブミン / 肝類洞細胞 / 受容体仲介エンドシトーシス / コーテッド・ピット / コーテッド・ヴェシクル / ファゴソーム |
Research Abstract |
フォルマリンで変性させたアルブミンのラット肝臓類洞細胞による取り込みと分解を追求するために、第一段階として、変性アルブミンを西洋わさびベルオキシダーゼ,フェリチン,およびコロイド金で標識することによりアルブミンを可視化して、その取り込みと分解を経時的に観察した。その結果、次のことが明らかとなった。 (1)変性アルブミンは静注後、20秒にはすでに類洞細胞(内皮細胞およびクッパー細胞)の細胞膜に結合している。さらに30秒にはコーテッド・ビットに集中する。1-3分にはコーテッド・ヴェシクルおよびエンドソームにはいる。この時期にファゴソームの形成が始まる。ファゴソームにおける変性アルブミンの分解は静注後5分には始まり、60分にはほぼ終了する (2)またフェリチン標識およびベルオキシターゼ標識変性アルブミンを時間をおいて同一のラットに静注して、その取り込みを観察すると、既存のファゴソーム(フェリチン標識アルブミンを1時間前に取り込んだもの)と後から形成されるファゴソーム(ペルオキシターゼ標識アルブミンを含むもの)とは融合しない。 これらの結果は次のことを示している。(A)変性アルブミンは受容体を介したエンドシトーシスによって、類洞の内皮細胞およびクッパー細胞に取り込まれ分解される。肝実質細胞には変性アルブミンに対する受容体がないので、取り込まれない。取り込まれた変性アルブミンはファゴソームに運ばれ分解される。 (B)ファゴソームの形成は既存のファゴソームとの融合によって始まるのではなく、いくつかのエンドソームの融合によって起こるものと思われるしたがって、取り込みから分解まではワン・セットとして進行するものと推測される。
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